> 今週のトピックス > No.2770 |
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介護ロボット開発、国が重点化する分野は? | ||||||||||||||||||||||||||||||
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![]() ● 入浴支援やトイレへの往復支援を改訂で追加
今年2月3日、厚労省と経産省が「ロボット介護機器の開発・実用化にかかる重点分野」を改訂した。これまでの4分野5項目に、新たに1分野3項目を加え、これを重点分野とするものだ。重点分野とされたものに関しては、経産省関連予算である「ロボット介護機器開発・導入促進事業」(平成26年度概算要求で30億円)において、機器開発の企業に対する補助を行なうとともに、介護現場への導入に必要な基準作成などが進められる。
重点分野としては、これまで以下のようなものがあった。具体的には、@移乗介助(介助者のパワーアシストを行なう装着型、および抱え上げ動作のパワーアシストを行なう非装着型)、A移動支援(高齢者等の外出を支援するなどの歩行支援機器)、B排泄支援(排泄物の処理にロボット技術を用いた設置位置の調整可能なトイレ)、C認知症の人の見守り(施設で使用するセンサーや外部通信機器を備えたプラットフォーム)である。 今回新たに加わった分野としては、入浴支援(浴槽に出入りする際の一連の動作を支援する機器)がある。身体機能が衰えた要介護者にとって、もっとも難しい動作を必要とする生活行為が「入浴」である。中でも大きな壁(バリアー)となるのが、浴槽の出入りであり、これさえできれば自力での入浴を維持できるというケースも多い。介助者の負担軽減だけでなく、「自分でできる範囲」を増やしつつ重度化を防止するメリットもある。 また、項目として新たに加わったのが、上記Aの移動支援において「高齢者等の屋内移動や立ち座りをサポートし、特にトイレへの往復やトイレ内での姿勢保持を支援する歩行支援機器」。もう1つは、Cの認知症の人の見守りにおいて「在宅において使用する、転倒検知センサーや外部通信機器を備えたプラットフォーム」となっている。いずれも、主に在宅での生活を想定しつつ、要介護者が「自分でできること」を広げていくビジョンが強化されている。このあたりは、国の社会保障制度改革のビジョンである「在宅介護の限界点を高める」ことと、「予防の重点化をはかる」ことが反映されているとみられる。 ![]() ● 利用者や家族が使うからこそ安全性が求められる
今後、「介護のプロが使う」ことを想定したものから、「在宅で利用者や家族が使う」ことを想定したものへという広がりが進むとすれば、やはり機器類の安全性が大きなポイントとなる。そんな中、今回の重点分野改訂にあわせるように、2月5日に経産省から「生活支援ロボットの国際安全規格ISO13482が発行された」旨が伝えられた。これは高齢者介護などを想定した生活支援ロボットのうち、代表的な「移動型」「搭乗型」「装着型」の3つについて、日本からの提案によって発行されたものである。これにより、今後開発されるものも含め、介護ロボットなどに国際安全規格に基づいた安全認証が取得できる。
昨年8月、内閣府が行なった「介護ロボットに関する特別世論調査」でも、「介護ロボットを選ぶ際の重視点」として、操作性や価格とともに「安全認証の取得」が上位に上がっている。今後は、一般国民に向けて、この安全認証についての普及・啓発をいかに進められるかがカギとなる。在宅における家族介護者の高齢化や仕事への支障が社会問題となる中、不安を払拭する具体策が必要だ。 ![]()
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2014.02.13 |
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