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産前産後休業中の保険料免除、平成26年4月から開始
● 労使にとって大きなメリットに、注目の出産育児支援策
  政府は、次世代育成支援を重要な課題としており、これまでも様々な出産育児支援策を実行してきた。そして、今回社会保険関連の大きな改正ポイントとして注目されているのが平成26年4月から始まる産前産後休業中の保険料免除である。
  これまでの育児休業期間中に加えて、産前産後休業期間中の社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)も免除されることになり、被保険者にとってもメリットは大きいといえる。法律改正の施行時期を直前に控え、手続きの基本的な考え方とそのポイントを押さえておきたい。
● 保険料免除は、事業主が申請することが要件
  まず基本的事項の確認であるが、そもそも「産前産後休業期間」とは、 産前42日( 多胎妊娠の場合は98日)、産後56日のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間のことを指す。
  産前産後休業については労働基準法に規定されており、産前については本人が希望していれば出産日直前まで働くことは可能であるが、本人が休むことを請求した場合、使用者は休ませなければならない。また産後については、原則8週間(56日)を経過していない者は働かせることができないことになっている。
  この産前産後休業期間について押さえておきたいのは、事業主が申請することで保険料が免除される仕組みとなっており、自動的に免除されるわけではない点である。
  事業主は「産前産後休業取得者申出書」を提出する必要があるが、この申出書を提出するタイミング及び出産予定日と実際の出産日のズレによっても内容が変わってくるので実務面では注意が必要である。
● 平成26年4月30日以降に産前産後休業が終了となる人が対象
  今回の改正は、平成26年4月30日以降に産前産後休業が終了となる被保険者が対象となるわけだが、実務上は出産手当金と違って、産前産後休業をしている間に申出を行わなければならない。なお保険料の徴収が免除される期間は、産前産後休業開始月から終了予定日の翌日の月の前月(産前産後休業終了日が月の末日の場合は産前産後休業終了月)までとなる。もちろん保険料が免除になっている期間中も被保険者資格に変更はなく、将来、厚生年金の年金額を計算する際は、保険料を納めた期間として扱われることになる。
  いずれにしても、社内の実務担当者は対象者になりそうな人がいる場合、早めにシミュレーションをして本人にわかりやすく説明できるよう、自分自身もこの制度の仕組みをよく理解しておく必要があるといえる。
参照 日本年金機構 「産前産後休業期間中の保険料免除が始まります」
http://www.nenkin.go.jp/n/data/service/000001674194EWe5gfHi.pdf
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
  福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2014.02.17
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