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中小企業向け「経営者保証に関するガイドライン」適用開始
  中小企業では企業の借入れの際、8割以上の経営者が個人保証(経営者保証)を提供している。個人保証(経営者保証)には経営者への規律付けや資金調達の円滑化に寄与する面がある一方、経営者による思い切った事業展開や、早期の事業再生等を阻害する要因となっているなど、企業の活力を阻害する面もあり、様々な課題が存在する。
  これらの課題を解消し中小企業の活力を引き出すため、主たる債務者(個人事業主を含む中小企業)、保証人(経営者)および対象債権者(金融機関等)共通の自主的なルールとして「経営者保証に関するガイドライン」が策定され、2月1日から適用が開始された。
● 「経営者保証に関するガイドライン」の概要
  「経営者保証に関するガイドライン」は、中小企業金融における経営者保証について、合理性が認められる保証契約の在り方等を示すとともに、経営者保証の弊害を解消し、中小企業の各ライフステージ(創業、成長・発展、早期の事業再生や事業清算への着手、円滑な事業承継、新たな事業の開始等)における中小企業の取組意欲の増進を図り、中小企業の活力を一層引き出すことを目的としている。
  経営者の個人保証については、
@法人と個人が明確に分離されている場合などに、経営者の個人保証を求めないこと
A多額の個人保証を行っていても、早期に事業再生や廃業を決断した際に一定の生活費等(従来の自由財産99万円に加え、年齢等に応じて100万円〜360万円)を残すことや、「華美でない」自宅に住み続けられることなどを検討すること
B保証債務の履行時に返済しきれない債務残額は原則として免除すること
などを定めており、第三者保証人についても、上記A、Bについては経営者本人と同様の取扱となる。
●「経営者保証に関するガイドライン」に期待される効果
現状 ガイドライン適用後
保証契約時 借入をしている中小企業の8割以上が経営者保証を提供 一定の経営状況により、「経営者保障なしの融資」を受けられる可能性が高まる
保証履行時
自己破産した場合、原則として自由財産以外は保証債務の弁済に充当され、生活基盤の大半を失う
官報への公示、信用情報登録機関への登録により再度の借り入れが制限を受け、再チャレンジが困難
「保証債務の履行請求が限定的」となり、安定した事業継続等に必要な保証人の残存資産が増加する可能性が高まる
官報への公示、信用情報登録機関への登録による信用低下も回避され、保証人の再チャレンジが促進されることが期待される
  今回のガイドラインは、一般的なガイドラインと同様に法的拘束力を有するものではなく、保証契約時は金融機関による審査、保証履行時は金融機関による検討と、金融機関の裁量に委ねられている部分もあるが、既に多くの金融機関はホームページ等において本ガイドラインに則った運用をしていく旨の案内を掲載しているため、ガイドラインに従った対応がなされていくのではないかと予想される。
参照
日本商工会議所ホームページ
http://www.jcci.or.jp/news/2014/0116130000.html
全国銀行協会ホームページ
http://www.zenginkyo.or.jp/news/2013/12/05140000.html
2014.02.27
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