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4月からの年金額0.7%引下げが決定!!
● 厚生労働省から年金額引下げが発表された
  1月31日に厚生労働省年金局年金課が、平成26年度の年金額は、0.7%の引下げとなることを発表した。 これにより、平成26年度の満額の老齢基礎年金は、平成25年度の月額64,875 円から、月額64,400 円と475円減額されることになった。なお、受給者の受取額が減額されるのは、4月分の年金が支払われる6月からとなる。
  年金額の引下げは、遺族年金、障害年金、加給年金等の額にも影響するものである。
● なぜ、「0.7%」となったのか
  平成25年9月分までの年金は、本来の水準より2.5%高い水準で給付が行なわれていた。これは、平成12年〜平成14年まで、物価の下落により本来は1.7%支給額が下がるところ、特例的に年金額を据え置き、またその後の改定においても物価水準が上がらなかったことが影響したものである。
  平成24年に、将来世代への負担の先送りを避けるため、この高い特例水準になっていた年金額を段階的に引き下げることが決まった。平成25年10月に▲1%(実施済み)、平成26年4月に▲1%、平成27年4月に▲0.5%と3段階で、計2.5%が引き下げられ、本来の水準に戻されることになった。
  本来の年金額の改定は、現役世代の賃金水準や物価水準の変動に連動する仕組みとなっている。ただし、賃金水準の変動よりも物価水準の変動が大きい場合には、年金額は、名目手取り賃金変動率で改定される。
  「平成25年平均の全国消費者物価指数」(1月31日総務省発表)の対前年比変動率は、0.4%となった。また、平成26年度の年金額改定に用いる「名目手取り賃金変動率」は0.3 %となった。 このため、0.3%引上げになるところであるが、平成26年度の年金額は、特例水準の段階的な解消により、1.0%の引下げが決まっていたので、この結果、0.7%の引下げとなった。
● 平成27年4月の引下げ以降は、マクロ経済スライドが適用される
  特例水準が解消される平成27年4月以降は、本来の水準の年金額に戻ることになり、平成16年の年金制度改正で定められた、年金財政の健全化のためのマクロ経済スライドが始まる。このため、特例水準解消後の年金額は物価上昇分ほど年金額が上がらなくなる。マクロ経済スライドでは、物価上昇率が2%なら、年金額の伸びは1.1%程度となる予定である。今後は年金額は増えても、物価上昇を加味した実質の年金額の上昇率は減少することになる。マクロ経済スライドは、年金の特例水準の解消と同様、遺族年金等の額にも影響する。既に年金を受給している人にとっても、受給前の人にとっても、将来の受給額に影響を及ぼす改定である。
  年金に関しては、今後も平成26年4月の遺族基礎年金の父子家庭への支給、平成27年10月の被用者年金の厚生年金への一元化や、受給資格期間25年から10年への短縮、平成28年10月の短時間労働者に対する厚生年金・健康保険の適用拡大などの改定が予定されており、お客様への情報提供が重要である。
参照
:厚生労働省ホームページ
  
古賀輝行(こが・てるゆき)
古賀社労士・FPオフィス 代表
〒169-0075
東京都新宿区高田馬場2−9−1 天野ビル3階
E-mail:kogasrfp26-22@ae.auone-net.jp
1951年2月22日生まれ(63歳)。損害保険会社に26年間、生命保険会社に12年間勤務後、2011年退職を機に個人事務所「古賀社労士・FPオフィス」を立ち上げる。
客先企業の顧問社会保険労務士としての業務のほかに、ファイナンシャル・プランナー(FP)として、ライフプラン、生命保険、社会保険の相談業務やセミナー講師を行っている。
  
  
2014.03.10
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