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60〜64 歳、希望者の約7〜8割が就業 厚労省調査
● 免許・資格取得者の方が仕事をしている割合が高い
  厚生労働省は、第8回中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)の概況を発表した。この調査は2005年から行われており、団塊の世代を含む全国の中高年者世代の男女を追跡して、その健康・就業・社会活動について、意識面・事実面の変化の過程を継続的に調査しているものであり、企業関係者にとっても参考になるデータがたくさん含まれているため、参考にしたいところである。
  この調査の項目の中で60歳以降の仕事の希望と実態についての質問があるが、第1回調査時に「60〜64 歳は仕事をしたい」と希望していた者のうち、第8回調査時(平成24年11月7日)に「仕事をしている」者は、男81.2%、女66.3%という結果となった。また第1回調査時に「65 歳以降仕事をしたい」と希望していた者のうち、第8回調査時に「仕事をしている」者は、男67.5%、女57.5%ということで比較的本人の希望どおり就労している人が多いといえる。また今回の調査で、「仕事をしている」と回答した人のうち、(仕事のために)「免許や資格を取得した」という人の割合は、60〜64歳及び65歳以降のいずれでも「免許・資格を取得したことがない」と回答した人よりも高い値となっていることが明らかとなった。
● 高年齢者の働く意欲にこたえるためにも各企業側の人材活用に工夫を
  改正高年齢者雇用安定法の施行によって、平成25年4月より原則希望者全員の65歳雇用の時代となり、高年齢者の働く意欲も徐々に高まっている。
  高年齢者が働きたいと思う理由はさまざまで、たとえば仕事をいきがいとしている人もいれば、社会のために役にたちたいと思って働いている人もいる。
  企業側としても本人の希望に応えられるような職場環境と労働条件を提供できるよう柔軟に対応しながら受け皿となるのが望ましい。もちろんそれは企業だけの努力だけではなく、社会全体として取り組まなければならない課題でもある。そのためにもこのような調査によりニーズを探ることは大変重要になってくる。
  せっかく高年齢者の働く意欲が高まってきても、各企業の職場の中でどのような位置づけで、どのような仕事を任せていくのか、その人材活用の方法を今以上に真剣に考えて工夫していく必要がある。そうしなければ、お互いにとっていい関係を築くことができず、不幸な結果になってしまいかねない。
参照
厚生労働省「第8回中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)の概況」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/judan/chukou13/
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
  福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2014.03.17
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