>  今週のトピックス >  No.2788
消費税増税、「全ての商品を一律3%引上げ」が7割
● 「全て転嫁できる」とした企業は約6割
  4月の消費税率8%への引上げに際し、70.8%の企業が「全ての商品を一律で3%引き上げる」意向を示したことが、東京商工会議所が会員の中小・小規模企業を対象に1月後半に実施した「中小企業の経営課題に関するアンケート調査」結果(有効回答数937社)の中で分かった。次いで、18.7%が「消費税率にかかわらず、全ての商品の価格を見直し、適切な利益を得る」と回答した。
  一方、消費税率引上げに伴う価格転嫁の見込みについては、「全て転嫁できる」と回答した企業は59.2%と約6割にとどまり、「一部しか転嫁できない」(13.8%)、「ほとんど転嫁できない」(7.4%)、「わからない」(18.9%)を合わせて約4割の企業で価格転嫁に懸念を残す結果となった。「全て転嫁できる」と回答した企業は、「5人以下」では53.6%と低く、小規模企業のほうが価格転嫁に懸念が残る企業が多くなっている。
● 「全て転嫁できる」業種は「卸売業」、「建設業」に多い
  業種別にみると、「全て転嫁できる」と回答した割合は、「卸売業」が63.4%で最も高く、次いで「建設業」が61.3%で続き、以下の「小売業」(53.6%)、「製造業」(57.2%)、「サービス業」(57.2%)の3業種は平均(59.2%)以下だった。サービス業の詳細をみると、「飲食業」は「全て転嫁できる」企業が36.8%にとどまる一方、「ソフトウェア・情報処理業」では76.1%と最も高くなっている。
  上記のように、価格転嫁の見込みについては、「全て転嫁できる」と回答している企業は約6割にとどまっていることから、価格を一律で引き上げたとしても、販売不振などによる売上低下を懸念している事業者がいるとみられている。消費税引上げ後の価格設定は、業種・業態に応じて、市場環境や販売戦略などを勘案し、価格転嫁の方法を総合的に検討する必要があるとみられている。
  なお、消費税率引上げに伴う自社の課題(複数回答)については、「レジ、経理ソフト等、システム変更に伴う費用負担」(30.1%)が最も高く、次いで「帳簿処理の切り替え」(26.3%)、「請求書・領収書の切り替え」(25.2%)、「税額引上げ分の取引先への価格転嫁」(24.1%)、「消費税の納税準備のための資金繰り管理」(21.2%)、「販売価格の設定」(18.1%)などが続いた。「特になし」という企業も24.5%あり、特に「建設業」(34.2%)に多い。
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に「住基ネットとプライバシー問題」(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍「生命保険法人契約を考える」
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2014.03.17
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