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課税検討対象へ ネット上の仮想通貨「ビットコイン」
  政府はインターネット上の仮想通貨「ビットコイン」を、通貨や金融商品ではなく、「商品(モノ)」として扱い、課税対象とする方向で検討に入った。
● ビットコインとは
  ビットコインとはネット上で流通する仮想通貨のことで、2009年頃に登場した。円やドルと違って特定の発行者や管理者がおらず、コンピューターで設定された複雑なプログラムを解くとコインがもらえるしくみとなっており、ネット空間にあるコインを探し出すゲームのようなものだ。当初は一部のマニアのみが利用していたが、現在では決済にも利用できるようになっており、全世界で1,250万枚程度流通している。
● ビットコインを購入するには?
  ビットコインは円やドルなどの現金で購入することや売却することができる。現金での売買は、ネット上の私設取引所を通じて行われる。最近(3月8日現在)の交換レートは1コイン610ドル程度。ネット通販や店舗で商品を購入する場合にビットコインで決済することが可能なことから、米国では利用が広がっている。2月28日にはビットコインの世界最大級の取引所を運営し、東京に本社を置くMTGOX(マウントゴックス)社が、不正なアクセスによってビットコインなどを盗まれ、破たんに追い込まれたことが大きな波紋を呼んでいるが、日本人でビットコインを所持する人は世界全体の割合からみると少ないようだ。
● 電子マネーとは異なり、ビットコインはモノとして課税
  ビットコインを購入し値上がりした後で売却すれば、購入価格と売却価格の差が利益となる。今までは、その利益については課税対象となっていなかった。政府もビットコインを通貨(金融商品)とするのか、モノとするのかの見解を出せずにいた。
  ビットコインと同様に、電子的なデータのやりとりによって決済を行う「電子マネー」との大きな違いは、電子マネーは発行している企業があり、お金と同じような価値が約束されている。一方ビットコインは発行者や管理者がおらず、誰かが価値を約束しているわけではない。よって政府は金融商品ではないことを明確にし、貴金属や美術品と同じ「商品(モノ)」と位置付ける方針だ。
  今後は、ビットコインを使った取引でも利益が出た場合は、法人税、所得税などがかかることになるという。とはいえ取引自体に規制はなく、各省庁は互いに「自分の所管ではない」と責任を押し付けあっているのが現状だ。しかし、仮想通貨のルール作りを早急に確立しないと、犯罪組織の資金洗浄の手段などに悪用される危険性も考えられる。一日も早いルール作りが必要だ。
  
伊田 賢一 (いだ・けんいち)
株式会社FPウィム 代表取締役、株式会社WINKS 代表取締役
CFP®認定者、一級ファイナンシャル・プランニング技能士
証券会社3社に勤務の後、2002年に独立系FPとして活動開始。独立系FP会社役員を経て、2007年に相談業務を中心としたFP会社として株式会社FPウィムを設立。2010年には多角的なFPサービスの提供を目的とした株式会社WINKSを設立。相談者の心の内の心配ごとをいち早く見つけ、個々人の夢や目標に応じたマネープランニングを提案し、実行援助、管理、見直しに至るまで包括的なサービスを提供している。個人や企業の相談は月平均30件、講演、セミナーも年間60件を超えるなど、幅広いファイナンシャル・プランニング業務を行っている。さいたま朝日に「家計の知っ得」、ホケモンに「保険の基礎知識」などを連載中。おもな著書に「うかる!FP技能士2級」「うかる!FP技能士3級」「うかる!証券外務員2種」などがある。
NPO法人日本FP協会 埼玉支部副支部長、 マネーカフェさいたま代表、埼玉県金融広報委員会アドバイザー。
株式会社FPウィム http://fpwim.com/
  
  
2014.03.20
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