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新社会人の意識調査「将来に希望もてる」わずか2割
● 経年比較により新人の意識の変化がわかる調査
  リクルートマネジメントソリューションズは3月12日、「新人・若手の意識に関する調査」を発表した。この調査は2013年11月に、インターネット調査で実施し、従業員500名以上の企業に所属する、最終学歴大卒以上のホワイトカラー総合職に従事する会社員で、入社一年目の社員400名を対象としている。調査は2010年に続く2回目で、「2013年入社の新入社員」との経年比較で海外志向や管理職志向、仕事の上で重視することなどを調査・分析しており、企業側としても大変参考になるデータとなっている。
  調査結果の中でも特に注目すべき点は、「将来の見通しは明るく希望がもてる」と回答した新人は2割にとどまったことであり、前回調査から大きく変化している点は、その理由などを取り上げて考えてみる必要があるといえる。
● 「将来が明るい」と感じられない気持ちが数値に
  働くうえで「将来の見通しは明るく希望がもてるか」という質問をしたところ、回答のトップは「どちらかといえばそう思う」の44.0%となったが、次いで「どちらかといえばそう思わない」の25.3%、「とてもそう思う」「そう思う」と回答したのは2つ合わせても21.6%にとどまっており、2010年の調査の29.6%より8ポイント減となった。
  調査結果としては、希望がもてない理由として、「昇給が見込めない」「出世できそうにない」という回答割合が多く、冷静に現状を見ているからこその回答といえる。もちろん、近年ブラック企業の存在が話題になり、職場環境の健全化が求められる風潮になってきたことや、だんだんと景気が良くなってきているという状況はあるが、いまだに大手企業のリストラの話などが耳にはいることもあり、はっきりと将来が明るいとまでは感じられない新入社員の不安が入り混じった気持ちも、数値になって表れているのかもしれない。
● 管理職志向 45% 前回調査から約10ポイント減
  いずれにしてもこの結果を悲観的に受け止めてはいけない。あくまでも「どちらかといえばそう思う」という回答割合がトップであることには違いないので、企業側もこのような調査結果をふまえたうえで、新入社員の心理面などを含めてマネジメントや人材育成の際に活かしてほしいところである。
  また調査結果によると「管理職になりたいか」との問いに対し、「なりたい」「どちらかといえばなりたい」と答えた新人の割合は、2010年の55.8%から45%へと減少した。特に若年層においてはさまざまな働き方が広まり、若者にとって働くということ、そして生き方すべてを含めての価値観が多様化していることを考えればこのような変化もよく理解できる。企業側はこの結果を冷静に受け止めてどのような労働環境を提供するのかも大事になってくるといえるだろう。
参照 リクルートマネジメントソリューションズ
「調査発表:新人・若手の意識と学習・キャリアに関する調査2013」
http://www.recruit-ms.co.jp/newsrelease/newsrelease_detail/org_key/0000000120/
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
  福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2014.03.31
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