>  今週のトピックス >  No.2796
金融庁、NISA口座での配当金等受取方式に注意喚起
● 非課税適用には「株式数比例配分方式」への変更手続きが必要
  今週のトピックスNo.2780でもお伝えしたように、今年1月に開始されたNISAの口座開設数は475万件(国税庁調査、1月1日現在)にのぼり順調な滑り出しをみせているが、金融庁はこのほど、証券会社のNISA口座で保有する上場株式の配当金、ETF(上場投資信託)・REIT(不動産投資信託)の分配金について、非課税の適用を受けるためには、配当金の受取方法を、証券会社で配当金等を受け取る「株式数比例配分方式」に変更する手続きが必要になるとして注意を呼びかけた。必要な手続きについては、各証券会社に確認するよう要請している。
  現在多くの投資家が上場株式の配当金やETF、REITの分配金の受取方法として選択している「配当金領収証方式」(ゆうちょ銀行等及び郵便局に「配当金領収証」を持ち込み受け取る方式)や、「登録配当金受領口座方式・個別銘柄指定方式」(指定の銀行口座で受け取る方式)では、NISA口座で買い付けた上場株式の配当等は非課税とはならず、20%の税率で源泉徴収(復興特別所得税を含めると20.315%)される。
  上記の「配当金領収証方式」などにより配当金等を受領した場合は、確定申告の必要はないが、確定申告を行うことにより、総合課税を選択して配当控除の適用を受けること、または申告分離課税を選択して特定口座や一般口座で保有する上場株式等の譲渡損失との損益通算や繰越控除をすることができる。
● 投資信託の分配金は「株式数比例配分方式」への変更手続きが不要
  「株式数比例配分方式」を選択すると非課税になるが、証券会社で、いったん「株式数比例配分方式」を選択すると、同一の証券会社や他の証券会社の特定・一般口座で保有されている全ての上場株式の配当金等についても、自動的に「株式数比例配分方式」が選択される。「株式数比例配分方式」によって上場株式の配当金等を受け取る場合には、保有銘柄の配当基準日までに、手続きを終了しておく必要がある。この手続きに要する日数は、証券会社によって異なるので、取引先の証券会社に問い合わせて欲しい。
  また、NISA口座で保有する投資信託の分配金については、「株式数比例配分方式」への変更手続きは不要だ。したがって、銀行など証券会社以外でNISA口座を開設している人は、投資対象が投資信託に限られていることから、この手続きは不要となる。
  なお、2009年の株式電子化に当たって、信託銀行などに開設された「特別口座」に上場株式がある場合などは、「株式数比例配分方式」は利用できない。「特別口座」がある場合や「特別口座」の所在が分からない場合の具体的な手続きについては、取引先の証券会社に相談する必要がある。
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に「住基ネットとプライバシー問題」(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍「生命保険法人契約を考える」
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2014.03.31
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