>  今週のトピックス >  No.2800
時代とともに変わる「生活設計」の考え方
  生命保険文化センターから「生活設計の今日的課題と今後のあり方」に関する研究報告が発表された。収入リスク・支出リスクに着目し、一定の収入が前提となっていたこれまでの生活設計の手法をどのように見直していくべきかについて5名の専門家が考察している。ここでは、その研究の一環として行われた「生活設計に関する調査」から、現在の収入に対する満足度や将来の生活に対するイメージなどについて取り上げてみる。
(1)現在の収入源は、将来の生活の備えとして十分であると考える人は約2割
  現在あるすべての収入源があれば現在の日常生活を十分に送れると考えている人は全体の約41%であった。一方、将来の生活に対する備えとして「十分」であると考える人は約21%にとどまった。特に、約38%の人が将来の備えについて「不十分」であるとしており、生活設計上も何らかの対応が必要であることがわかる。
<現在の収入源の現在の生活・将来の備えに対する状況>
十分 まあ十分 やや不十分 不十分 不明
現在の生活に
ついて
6.5% 34.1% 34.8% 22.9% 1.7%
将来の備えに
ついて
2.6% 18.5% 39.1% 37.9% 1.9%
(2)収入の途絶や大幅低下の経験がある人は3人に1人
  自分または家族の収入が途絶えた、大きく低下したなどで生活に何らかの影響を受けたことのある人は約33%であった。その原因としては、自己都合による退職や会社都合による失業、業績不振による減給・賃金カット等、バブル崩壊やリーマンショックなどによる経済の混乱の影響が伺える結果となっている。
  この状況からの回復方法としては、「収入を失ったり低下した本人が再就職や転職をした(約45%)」が最も多く、「生活費を見直した(約33%)」「保険を見直した(約18%)」がそれに続いている。
<収入の途絶・大幅低下の原因(経験ありと回答した人について抜粋)>
自己都合による退職 35.6% 転職・独立 14.8%
会社都合(倒産・リストラ)による失業 24.4% 働き手本人の病気・けが
会社の業績不振にともなう減給・賃金カット 20.2% 事業の失敗・不振 9.8%
<収入の途絶・大幅低下の状況からの回復方法(抜粋)>
本人の再就職・転職 44.5% 保険の見直し 18.4%
生活費の見直し 32.9% 家族が働き始めた 9.8%
(3)将来について、「20年くらい先をイメージしている」人はわずか1割
  何年先まで将来の生活をイメージしているかという質問には、全体の約72%の人がイメージ自体は持っていると答えた。しかし期間別に見ると、「1年くらい先まで」から「5年くらい先まで」をイメージしている人が約40%で、「10年くらい先まで」を加えると約61%となった。一方、ある程度長期的な視点で将来をイメージしていると思われる「20年くらい先まで」となるとわずか約11%という結果であった。また、約27%の人は将来について「まったくイメージしていない」と回答している。
<将来の生活のイメージ>
1年くらい先まで 5.5% 10年くらい先まで 21.1%
2〜3年くらい先まで 16.0% 20年くらい先まで 11.1%
5年くらい先まで 18.3% まったくイメージしていない 27.2%
  なお、将来の生活をイメージしていない人は、「今の生活が精いっぱいで、先のことまで気が回らない(約48%)」「先のことを考えても仕方ない(約32%)」が上位の回答となっている。
  生命保険や損害保険の販売上、「生活設計」はコンサルティングセールスに必須であり、それぞれの時代背景を反映してメインとなるテーマは変わってきた。例えば1970年代頃の高度成長期には、当時の主な働き手であった夫(父親)の死亡リスクに備えるための「死亡保障」の確保が最優先であり、1980年代後半になると、“人生80年時代”に備える老後生活資金の準備のため「個人年金保険」が脚光を浴びた。その後、長く続いた平成不況や終身雇用制度の終焉・リストラ等による雇用の流動化・非正規雇用の増加などがあったため、ますます収入の途絶・減少に対するリスクにも備える必要性が増加している。
  さらに、医療技術や検査技術の進歩により、これまで見つけることができなかった疾病の早期発見・治療がすすみ、がんなどの生存率も飛躍的に向上している。そういった意味で、「万一」や「長生き」に備えることはもちろんのこと、「生きる」ことをサポートする「医療保障」や「就業不能保障」などの機能を持った保険を、「生活設計」の中に効果的に組み込むことが重要となってくるのではないだろうか。
参照 生命保険文化センター「生活設計に関する調査」平成26年3月20日発表
    http://www.jili.or.jp/press/2013/nwl13.html
2014.04.07
前のページにもどる
ページトップへ