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厚生労働省「ハローワーク求人ホットライン」を開設
● 求人票の記載内容と実際の労働条件の違い「賃金に関すること」がトップ
  厚生労働省が行った調査によると、平成 24 年度に全国のハローワーク(公共職業安定所)に寄せられた申出で、「求人票の記載内容と実際の労働条件が違う」というものは、 全国で7,783 件あった。申出の内容の上位は、「賃金に関すること」が 2,031 件(26%)、就業時間に関することが 1,405 件(18%)となっている。
  この結果を受けて厚生労働省では、3月24日から「ハローワーク求人ホットライン」を開設するなど、ハローワークで公開している求人票の記載内容と、実際の労働条件が異なる場合の対策を強化することを発表した。
  企業側としてはますます厳しくなるハローワークの対策を受けて、どのような点に注意すべきかについてポイントをまとめておくこととする。
● 日本年金機構や労働基準監督署との連携により情報を共有化
  今回の対策強化の核になるのは、「ハローワーク求人ホットライン」の開設である。これは、ハローワークの求人票の記載内容と実際の労働条件が異なる場合などに求職者・就業者が申し出るための相談電話窓口で、3月24日から受付を始めたところであるが、受けた申出について、ハローワークでは対象企業への事実確認と必要な指導などを徹底する方針だ。企業側は指導を受けないようにするためにも自社でセルフチェックを行い、求人票の記載内容に実態と違う部分がないかを確認しておく必要がある。
  また都道府県の労働局・ハローワークは、労働基準監督署や日本年金機構、都道府県の消費生活センターなどと連携を図ることも発表している。
  ハローワークが日本年金機構と連携すると、従業員の社会保険の適用状況などについても情報が共有化されることになり、年金事務所の調査にもフル活用されることが予想される。その結果として試用期間中の従業員やパートタイマーの社会保険の加入漏れについても厳しく指摘される可能性があるので、違法状態があれば早めに正すべきである。
  ハローワークの役割も時代とともに変わってきている。少し前には、産業競争力会議の中でハローワークの求職情報を民間企業に開放することを発表したばかりであり、ハローワークそのものが生き残りをかけて必死になっているようだ。そのような背景もあり、本気で成果をあげようと上記の取り組みを強化すれば、実際に各企業が影響を受けることも考えられる。
  いずれにしても、求人票には「実態と合っていない求人内容を記載しないこと」、雇用保険・社会保険の加入についても「法律に反することなく適切な加入手続きを行うこと」を、必ず守るようにしていただきたいところである。
参照 厚生労働省
「ハローワークでの求人票と実際の労働条件が異なる場合の対策を強化します」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000040696.html?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
  福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2014.04.14
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