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赤字法人の割合、平成24年度分も7割超える
● 黒字法人の営業収入金額・所得金額は大幅増加
  国税庁が3月27日に公表した「平成24年度分会社標本調査」結果によると、24年度分の法人数は253万5,272社で、前年度(23年度分)より1.7%減で3年連続減少した。ここから連結子法人9,288社を除いた252万5,984社のうち、赤字法人は177万6,253社で、赤字法人割合は70.3%となった。前年度の72.3%から2.0ポイント減少したものの、高水準に変わりない。
  平成24年度分の営業収入金額は、前年度に比べ8.7%増の1,386兆1,038億円と増加に転じ、黒字法人の営業収入金額は同32.7%増の1,018兆1,159億円、所得金額も同20.1%増の40兆7,636億円と大幅に増加、ともに3年連続の増加となった。
  営業収入に対する所得金額の割合(所得率)は、前年度から0.4ポイント下降の4.0%となり、赤字法人割合は高水準だったものの、順調に景気回復を図っている企業との二極化がうかがえる。
  黒字法人の益金処分総額は前年比4.7%増の42兆4,640億円。内訳は、支払配当が同6.5%減の8兆2,865億円(構成比19.5%)、法人税額が同4.8%減の8兆2,390億円(同19.4%)、その他の社外流出が同12.8%増の5兆3,600億円(同12.6%)で、これらを引いた社内留保は同12.4%増の20兆5,784億円と全体の48.5%を占めた。なお、役員賞与は、会社法創設に伴い、平成18年5月1日以後終了事業年度から利益処分項目ではなくなっている。
● 交際費は6年ぶりに増加もピークから半減
  一方、平成25年3月までの1年間に全国の企業が取引先の接待などに使った交際費は、前年度に比べ0.8%増の2兆9,010億円と、6年ぶりに増加に転じたが、過去最高だった平成4年分の6兆2,078億円に比べると半分にも満たない。
  平成24年度分の交際費のうち、税法上損金に算入されなかった金額(損金不算入額)は同0.2%増の1兆1,469億円と6年ぶりに増加し、損金不算入割合は同0.3ポイント減少の39.5%と4年連続の40%割れとなった。
  営業収入10万円あたりの交際費等支出額は、全体では前年度より17円少ない209円で、資本金階級別に見ると、1,000万円以下の企業が570円と最も高く、資本金が多くなるにつれ支出額は減少し、資本金10億円超の企業では99円に抑えられている。
  これを業種別にみると、「建設業」が546円、「不動産業」が542円、「サービス業」が417円と高く、一方、「鉱業」が132円、「金融保険業」が136円、「機械工業」が154円と低くなっている。
  そのほか、企業が支出した寄附金の額は6,755億円で、調査開始以降では最高額を記録した前年度に比べ5.8%減と6年ぶりに減少した。これは、23年3月に発生した東日本大震災に伴う国や地方自治体、日本赤十字社などへの「指定寄附金等」が1,624億円で同36.9%減となったことが要因。しかし、「特定公益増進法人等に対する寄附金」は915億円で同5.3%増、「その他の寄附金」も4,216億円で同13.2%増となっており、企業による寄附行為は定着しつつあるようにもうかがえる。
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に「住基ネットとプライバシー問題」(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍「生命保険法人契約を考える」
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2014.04.14
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