>  今週のトピックス >  No.2809
「小規模宅地等の評価減」活用が今後の相続対策のカギ
● 平成27年開始相続から減額面積が拡大
  いよいよ来年、平成27年1月1日以後開始相続から、相続税の基礎控除引き下げが始まる。同時に、「小規模宅地等の評価減」については、以下の拡充が行われる。
   (1)  特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積を330u(現行240u)までの部分に拡充する。
   (2)  特例の対象として選択する宅地等の全てが特定事業用等宅地等及び特定居住用宅地等である場合には、それぞれの適用対象面積まで適用可能とする。
  今後の相続においては、この「小規模宅地等の評価減」をいかにうまく活用するかがより重要となる。
● 特定居住用宅地等の要件
  例えば、特定居住用宅地等に該当すれば、限度面積まで80%の評価減が受けられるが、特例の適用対象者の要件は下表の通りとなる(被相続人の居住の用に供されていた宅地等の場合)。
取得者 取得者等ごとの要件
被相続人の配偶者が取得 要件なし
被相続人と同居していた親族が取得 相続開始の時から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人
被相続人と同居していない親族が取得 @及びAに該当する場合で、かつ、次のBからDまでの要件を満たす人
   相続人に配偶者がいないこと
   A 被相続人に相続開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族で相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人)がいないこと
   相続開始前3年以内に日本国内にある自己又は自己の配偶者の所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除く)に居住したことがないこと
   その宅地等を相続税の申告期限まで有していること
   相続開始の時に日本国内に住所を有していること、又は、日本国籍を有していること
● 対策は生前から、ただし近視眼的対策は禁物
  被相続人の自宅について特定居住用宅地等の特例を適用するケースは多いと思われるが、例えば父は既に亡くなっており、母は1人暮らし、子供は全員持家に住んでいるなどの場合には、上記の要件を満たす相続人がおらず、そのままでは評価減の適用を受けることができない。このような場合には、下記のような対策を検討することとなる。
   (1)  子供が母と同居する
   (2)  子供が持家を売却する
   (3)  子供の持家を賃貸し、自分は借家に住む
   (4)  持家のない孫に自宅を遺贈する  など
  ただし、税金だけを意識した相続対策は、一般的には失敗することが多い。上の例においても、特例適用対象者が自宅を相続した場合、残りの相続人に渡す財産がなく遺留分の問題が発生したり、仮に均等に財産を分けられたとしても、上記特例適用者のみ相続税負担が少なくなり手取金額が平等にならないなど、実際は様々な問題が起こる可能性がある。実行に際しては、税の専門家に相談することをお勧めする。
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村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
マネーコンシェルジュ税理士法人
◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
http://www.money-c.com/
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2014.04.24
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