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東京都内の中小企業、平均所定時間内賃金は33万4,535円 
● 中小企業の賃金の実態がわかる貴重な資料
  東京都では、従業員が10 人〜300 人未満の都内中小企業のみを対象とした賃金についての調査を毎年実施しているが、このたび平成25年度の結果を公表した。この調査は対象企業3,500社に実施されたもので、有効回答を得たのは970社。
  調査の内容は、「賃金」、「賞与」、「諸手当」、「初任給」、「モデル賃金」等で、「退職金」と「労働時間」については、隔年で交互に調査しており、本年は「労働時間」について調査している。中小企業の賃金の実態については特に公表されているデータが少なく、基準になるようなものがないので、困っている中小企業は多い。そのような状況の中において、ある一定数の企業が回答しているこの調査結果は、大変貴重であり、興味深いものである。
  なお調査結果によると、直接雇用される労働者のうち、パートや休職者を除く全常用労働者の平成25年における平均賃金は、所定時間内賃金が33万4,535円、所定時間外賃金が2万5,457円で合計35万9,992円(平均年齢41.4 歳、平均勤続年数10.2年、平均扶養家族数0.6人)となっている。中小企業としては参考になるデータの1つなので、大まかな目安として押さえておきたいところである。
● 賞与の年間平均支給額は83万4,347円、労働組合の有無により差が
  上記の所定時間内賃金を労働組合の有無別にみると、労働組合の「ある」企業(113社)は「ない」企業(851社)に比べ、所定時間内賃金で1万6,040 円(4.8%)高くなっている。企業規模別では「100〜299人」規模の企業が所定時間内賃金、所定時間外賃金、年間給与支払額ともに高くなっている。
  また、平成24年の年間給与支払額(所定時間外賃金、賞与等を含む)の平均額は499万4,493円だった。これは、前年の同調査(524万5,378円)と比較して4.8%減となっており、その原因とともに来年以降の動きも気になるところである。
  さらに賞与については、過去1年間(平成24年7月から平成25年6月まで)の平均支給額は平成25年夏季一時金が38万7,310円、平成24年年末一時金が39万4,623円、その他が5万2,413円と、合計83万4,347円となった。
  所定時間内賃金と同様に賞与を労働組合の有無別にみてみると、労働組合のある企業の支給額は111万145 円、労働組合のない企業は79万1,368 円だった。労働組合の「ある」企業は「ない」企業に比べ、31万8,777 円高くなっており、その差は大きい。
  中小企業の経営者はこのような調査データを参考にしながら、自社の賃金の支給水準を客観的にみることも必要ではないだろうか。
参照 : 東京都労働相談情報センター 中小企業の賃金事情(平成25年度版)
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/monthly/koyou/chincho_25/index.html
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
  福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2014.05.12
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