>  今週のトピックス >  No.2823
知らないでは済まされない、未成年者雇用の際の注意点
● 飲食業等では、未成年者のアルバイトは貴重な戦力
  飲食業やコンビニエンスストアでは、たくさんのパートタイマーやアルバイトを雇用しているが、その中でも高校生をはじめとする未成年者(満20歳未満の者)や年少者(満18歳未満の者)のアルバイトは、貴重な戦力となっている。特に人手不足が常態化している業界においては、時代の変化に対応してアルバイトの労働条件や労働環境の見直しを常に行っていくことが必要である。
  その一方で、企業側が未成年者を雇用する際の基本的なルールを理解できていないケースも見受けられるので、今回は、高校生などの未成年者を雇用する際に注意しなければならないポイントについてまとめておく。
● 未成年者であっても、賃金は直接本人へ支払うこと
  未成年者や年少者の雇用契約については、労働基準法において様々な制限が設けられている。まず大前提として、満15歳の年度末(3月31日)までは、雇用することができないこととなっている。但し、満13歳以上の児童(映画の製作・演劇の事業については満13歳未満でも可)で、一部非工業的業種かつ健康・福祉に有害でない軽易な作業については、所轄の労働基準監督署長の許可を条件として、修学時間外に雇用することができるが、まずは原則をしっかりと覚えておいていただきたい。
  また飲食店などでは、アルバイトとして高校生を雇用する機会も多いが、年少者(満18歳未満の者)を雇用する場合、その年齢を証明する戸籍証明書(住民票記載事項証明書でも可)などを事業場に備えつけることが義務となっている。
  加えて未成年者であっても、企業は賃金を直接本人に支払わなくてはならない。当然ながら賃金の請求権は本人にあるので、親権者または後見人が法定代理人として未成年者の賃金を請求してきたとしても、企業は絶対に親権者や後見人に支払ってはならない。
● 年少者を深夜業に従事させることはできない
  一番注意しなければならないのは、年少者(満18歳未満の者)を深夜業(午後10時から翌日午前5時まで)に従事させることはできない点である。また、法定労働時間(週40時間・1日8時間)を遵守して労働させなければならないこともあわせて押さえておきたい。一部例外はあるが、年少者の場合は変形労働時間制の対象にはならず、時間外・休日労働及び労働時間・休憩の特例も認められていないので、高校生に限らず満18歳未満の者を飲食店や小売店、旅館・ホテルなどの宿泊施設等で雇用する場合、注意しなければならない。
  さらに、未成年者の中には年齢を詐称して働き始めようとする人も多いので、本人の書いた履歴書や口頭での確認だけではなく、きちんと学生証や免許証などの公的な証明書を確認することで無用なトラブルを防止することができる。手間を惜しまず、日々地道に正しい労務管理を行う姿勢が常に求められているといえる。
参照 : 厚生労働省「高校生等を使用する事業主の皆さんへ 」
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/040330-8.html
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
  福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2014.05.26
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