>  今週のトピックス >  No.2824
みなし仕入率、経過措置の適用で一定期間は現行区分
● 平成27年4月1日から適用されるみなし仕入率に、経過措置あり
  国税庁は、同庁ホームページ上の「消費税法令の改正等のお知らせ」の中で、平成26年度税制改正で見直された消費税の簡易課税制度のみなし仕入率に設けられた経過措置の内容を解説している。
  みなし仕入率は、業種ごとの仕入経費率といえるもので、平成9年に現行の5区分(第一種=卸売業90%、第二種=小売業80%、第三種=製造業等70%、第四種=その他事業60%、第五種=サービス業等50%)に定められたが、平成26年3月の消費税法令の改正によって、6区分に見直しされた(今週のトピックス No.2749参照)。
  具体的には、第四種事業のうち金融業及び保険業を第五種事業とし、そのみなし仕入率を50%とするとともに、第五種事業のうち不動産業を第六種事業とし、そのみなし仕入率を40%とするものだ。この見直しは平成27年4月1日以後に開始する課税期間から適用されるが、今回注目したいのは経過措置が設けられていることだ。
● 9月末までに「消費税簡易課税制度選択届出書」提出で経過措置の対象に
  経過措置とは、「平成26年9月30日までに『消費税簡易課税制度選択届出書(以下、届出書)』を提出した事業者は、平成27年4月1日以後に開始する課税期間であっても、その届出書に記載した「適用開始課税期間」の初日から2年を経過する日までの間に開始する課税期間(簡易課税制度の適用を受けることをやめることができない期間)については、改正前のみなし仕入率が適用できる」というものだ。
《例》不動産業(第六種事業)に該当する事業を営む者に係る経過措置の適用関係
【3月31日決算法人の適用例】
「消費税簡易課税制度
選択届出書」の
提出年月日
課税期間
自 H25.4.1
至 H26.3.31
自 H26.4.1
至 H27.3.31
自 H27.4.1
至 H28.3.31
自 H28.4.1
至 H29.3.31
自 H29.4.1
至 H30.3.31
H25.3.31以前 第五種で計算 第五種で計算 第六種で計算 第六種で計算 第六種で計算
H26.3.27 (一般課税) 第五種で計算 第五種で計算 第六種で計算 第六種で計算
H26.9.26 (一般課税) (一般課税) 第五種で計算 第五種で計算 第六種で計算
H26.10.6 (一般課税) (一般課税) 第六種で計算 第六種で計算 第六種で計算
  ただし、上記の表を見てもわかる通り、平成26年10月1日以後に新たに届出書を提出した場合は、平成27年4月1日以後に開始する課税期間から、改正後のみなし仕入率が適用されるので要注意だ。
  届出書は、適用を受けようとする課税期間の前日まで(事業を開始した日の属する課税期間である場合は、その課税期間中)に提出しなければならず、原則として、2年間は実額計算による仕入税額控除への変更はできない。
  また反対に、みなし仕入率の見直しにより、簡易課税の適用(2年間の継続適用は必要)をやめたい場合は、施行日後の課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出する必要がある。
参照 : 税務署「消費税法令の改正等のお知らせ」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/h24kaisei.pdf
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に「住基ネットとプライバシー問題」(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍「生命保険法人契約を考える」
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2014.05.26
前のページにもどる
ページトップへ