> 今週のトピックス > No.2831 |
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注目される労働時間制度改正、対象者限定案と今後の展開 | ||||||||||||
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![]() ● “残業代ゼロ制度”をめぐり、厚労省と民間議員の提案に大きな隔たり
政府は、5月28日に産業競争力会議を開き、労働時間の上限規制などを撤廃する新たな制度(ホワイトカラー・エクゼンプション)の導入を決定した。これに対し厚生労働省は、新しい働き方である、いわゆる“残業代ゼロ制度”となることについて従来から慎重な姿勢を取っているが、一部理解を示した形となった。
田村憲久厚生労働大臣は、労働時間ではなく成果で仕事を評価することが可能な「世界レベルの高度専門職」に対象職種を限定するという条件付きで新制度の導入検討を表明したが、一方、企業側の立場である民間議員の長谷川閑史氏(経済同友会代表幹事)の提案と比較すると、かなり内容に隔たりがあり、今後も議論が続けられることが想定できる。 ![]() ● 民間議員側「中核・専門的な職種の『幹部候補』まで対象に」
労働界の懸念として挙がっているのが、「労働時間の規制と切り離された働き方は“残業代ゼロ”で長時間労働を強いられ、いったん導入されると『なし崩し』的に対象が広がる恐れがある」という点である。こうした反対の声を受けて厚生労働省側も慎重に検討している状況である。
一方で、前回4月の同会議では、企業側である長谷川氏は、年収1,000万円以上の専門職と国が年間労働時間の上限を示した上で、対象に一般社員も含めるという2つの方式を示していたが、5月の会議では内容を修正し、一般事務や小売店などの販売職、入社間もない若手職員は見直しの対象外とすることを提案した。対象とするのは中核・専門的な職種の「幹部候補」とし、具体的には、新商品の企画開発や会社の事業計画策定の現場責任者を指す「担当リーダー」、ITや金融分野の専門職「コンサルタント」などを挙げている。年収要件などは明記しないことになったが、原則として従業員の過半数が入る労働組合を持つ企業に限定導入として、本人の同意を前提としている。 ![]() ● 厚生労働省「世界レベルの高度専門職のみ」に限定
長谷川氏の意見に対して、厚生労働省は、「対象者は世界レベルの高度専門職のみに限定する」とはっきり述べている。企業の中核部門で働く社員については、すでに導入されている裁量労働制の中で新たな枠組みを構築したいという希望があり、両者の意見は、大きく違っている。
いずれにしても企業の運用次第で左右されるようなルールでは、結果的に残業代が出ないにも関わらず長時間労働が強いられることになってしまう可能性が高い。まだまだ現段階では懸念材料も多いが、今後の話し合いによる動向に注目したい。 ![]()
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2014.06.09 |
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