> 今週のトピックス > No.2838 |
![]() |
奨学金利用者、返還延滞者ともに増加傾向に | ||||||||||||
![]() |
![]() |
||||||||||||
![]() |
![]()
子どもの教育費のピークを迎える大学進学時。学費を賄う手段のひとつである奨学金の利用と返済について、日本学生支援機構のデータを見てみましょう。
![]()
日本学生支援機構のデータによると、平成24年度の奨学金利用者数は約132万人※1。国公立・私立大学昼間部での利用者割合を見ると52.5%で、大学生の半数以上が奨学金を利用しています※2。
一方、卒業後の奨学金返還状況はどうか? 平成24年度における奨学金の返還を要する人員は約323万人で、そのうち約33万人が1日以上返還を怠った者でした。平成14年度では怠った者は約20万人だったので、この10年間で約1.7倍に増えた計算です。 延滞のおもな理由について奨学金返還を3カ月以上延滞している者(以下、延滞者)にアンケートしたところ、「家計の収入が減った」が77.0%と最多で、「家計の支出が増えた」が39.3%でした※3。 さらに、延滞者の職業を見てみると、常勤社員(職員)が35.6%で最も多く、次いで無職・失業中(休職中)が18.2%、非常勤社員(職員)が15.1%と続いています。また延滞者の最も多い年収は、100万〜200万円未満で25.6%を占めています。 ![]() ● 学生本人が奨学金制度を理解する大切さ
調査※3を詳しく見てみると、興味深いデータがあります。延滞者への質問で、奨学金を申請する時の書類を、誰が作成したのかという問いに対して、親(または祖父母等の家族)と回答した人が37.9%で、奨学生本人の37.5%をわずかながら上回っています。奨学生本人が制度の内容を正しく理解した上で、親が代わりに申込書を作成したのならいいのですが、そうでない場合には、理解不足に伴う返還の延滞につながる一因とも考えられます。
このように、奨学金の利用者が5割を超える一方で、返済開始後の延滞者も増えている実態が浮かび上がっています。日本学生支援機構では減額返還制度や返還期限猶予制度を設けていますので、所定の要件を満たしていれば(例えば給与所得者の場合年収300万円以下など)利用できます。しかし、こういった制度についても、延滞者は減額制度については54.8%、猶予制度についても57.1%が「知らない」と回答しており、制度について十分に理解されているとは言えない実態がうかがえます。 奨学生への奨学金制度の周知徹底はもちろん、奨学金を借りる側の制度内容の理解についても、今後はいっそう求められそうです。 ![]()
*出典はいずれも日本学生支援機構の資料。
※1 平成24年度事業報告書 ※2 平成24年度学生生活調査結果 ※3 平成24年度奨学金の延滞者に関する属性調査結果 ![]()
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
2014.06.19 |
![]() |
|