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男女雇用機会均等法改正、7月より同性間でもセクハラに?
● 都道府県労働局の雇用均等室には、たくさんのセクハラの相談が
  近年、職場の「ハラスメント」といえば、セクシュアルハラスメント(セクハラ)よりパワーハラスメントに関することのほうがメディアなどでも取り上げられることが多いのは確かだが、実際はセクハラに関するトラブルが減っているわけではない。各都道府県労働局の雇用均等室には、セクハラに関する深刻な相談がたくさん寄せられている。男女雇用機会均等法施行規則の改正がこの7月から施行されることもあり、企業側はセクハラ対策について今まで以上の対策が求められるようになる。今回は、改正の中でも注目されている「同性間のセクハラ」について企業側の対策も含めて解説することとする。
● 同性間のセクハラのさまざまな事例
  セクハラ対策については、平成25年12月に男女雇用機会均等法施行規則が改正され、平成26年7月よりセクハラの予防・事後対応の徹底が図られることになっている。
  改正のポイントとしては、セクハラは「同性に対するものも含まれる」ことが明示されるようになったことである。セクハラと言うと、男性から女性に対して行う嫌がらせというイメージがあるが、同性間でも、相手の意に反するものであれば当然セクハラになる。
<女性同士でのセクハラの例>
「なぜ結婚しないのか?」と聞くこと
お茶くみを女性の仕事と決めつけること
女性上司が女性の部下をしつこく食事に誘うこと など
 
  
<男性同士でのセクハラの例>
職場の宴会で裸踊りを強要
聞くに堪えない下ネタ話を聞かせること
性的なからかいやうわさ話をしたりする行為
風俗店に部下を無理矢理連れて行くこと など
● 研修による従業員の意識啓発と相談窓口の設置
  上記の例のような同性間のセクハラについては、実際に都道府県労働局の雇用均等室にたくさんの相談があったため、今回の改正にいたっている。企業側としてできることは、研修などを通じて広く従業員の意識啓発を行い、相談窓口を設置するなどがあるが、やはり大事なのは、セクハラを絶対に許さないという風土づくりである。組織のトップのコンプライアンス意識と風通しの良い職場づくりこそがセクハラを予防するためには重要である。
  同性間のセクハラに限らず、セクハラのトラブルが社内で発生して、万が一メディアなどに取り上げられて大きな騒ぎになり、従業員側に訴訟を起こされることになると、高額の損害賠償請求はもちろんのこと、企業の信用を失って大変な事態になるという可能性もあるということを企業側は決して忘れてはならない。
参考 厚生労働省:男女雇用機会均等法施行規則を改正する省令等を公布しました
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000033232.html
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2014.06.23
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