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設立事業年度は必ず適用できる、所得拡大促進税制
● 基準事業年度から2%以上増加していればOK
  平成25年度の税制改正において、個人の所得水準の底上げを目的として創設された所得拡大促進税制。この税制は、以下の@、A及びBの要件を満たした場合、国内雇用者に対する給与等支給増加額について、10%の税額控除(法人税額の10%[中小企業等は20%]を限度)が認められている。
   給与等支給額が基準事業年度の給与等支給額と比較して一定割合(平成27年4月1日前に開始する事業年度は2%)以上増加していること
   給与等支給額が前事業年度の給与等支給額を下回らないこと
   平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を超えていること
   ※  適用対象期間は、平成25年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する事業年度
   ※  基準事業年度とは、平成25年4月1日以後に開始する事業年度の直前の事業年度をいう
  この所得拡大促進税制は、原則として給与等支給額が増加することを前提としているが、新設法人の設立事業年度についてはどうなるのだろうか。
● 雇用保険未加入者に対する給与も対象
  まず、設立事業年度の場合、給与等支給額が増加しているかどうかを判断する基準となる基準雇用者給与等支給額については、「事業を開始した事業年度の雇用者給与等支給額の70%に相当する金額」とされる。
  つまり、自動的に給与等支給額の増加割合は
  (100%−70%)÷70%≒42%となり、上記@の要件を満たすこととなる。
  次に、前事業年度の給与等支給額は0であることから、上記Aの要件も満たし、またBの要件についても、同様にクリアすることになる。
  結果として、設立事業年度については、国内雇用者に対する給与等支給額があれば、必ず所得拡大促進税制の適用を受けられることとなる。ちなみに国内雇用者とは、「法人又は個人事業主の使用人のうち、法人又は個人事業主の有する国内の事業所に勤務する雇用者(その法人又は個人事業主の国内に所在する事業所につき作成された賃金台帳に記載された者)」をいう。雇用保険一般被保険者でない者も含まれるため、適用範囲は非常に広い。
  適用される税額控除額は、新設法人の設立事業年度の場合、
  「設立事業年度の国内雇用者に対する給与等支給額×3%(=(100%−70%)×10%)」となる。ただし、その事業年度の法人税額の10%(中小企業については20%)が限度となる。
  なお、雇用促進税制は、設立事業年度については適用できないので注意しよう。
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村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
マネーコンシェルジュ税理士法人
◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
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2014.06.26
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