>  今週のトピックス >  No.2843
金融活性化策で注目される「直販型投資信託」とは?
  平成26年6月12日、政府は個人投資家が投資信託を購入しやすくなるよう、金融活性化策を打ち出した。投資信託の拡充や強化が柱で、運用業の規制緩和などを通じて、個人が運用益を得やすい環境を整えることを目指している。運用業界の競争を促すため、投資信託の運用者(ファンドマネージャー)が独立しやすい環境も整える方向だ。金融庁への登録要件を緩やかにし、少人数で運用会社を設立できるようにすることも検討中である。
  日本では証券会社や銀行などの金融機関(販売会社)を通じて投資信託を購入するのが一般的であるが、投資信託会社から直接購入できる投資信託もある。そういった直販型の投資信託が今、注目されている。その魅力を探ってみた。
● 手数料が安く、分配金は再投資に複利運用できる
  直販型投資信託の特徴には、主に以下の3点を挙げることができる(直販型投資信託会社の詳細については表参照)。
1.  手数料が安い
  販売会社を通さないため、手数料をゼロにしている投資信託がほとんどである。例えば販売会社を通じて100万円投資すると、手数料3%の場合、手数料、消費税等を差し引いた約96万8,600円程度が実質的投資金額となる。投資した瞬間からマイナススタートとなる。一方、直販型投資信託は手数料が取られないため100万円が投資金額となり、その差は大きい。
2.  独立系の会社が多い
  日本の投資信託会社は金融機関を親会社にもつところが多く、親会社の圧力によって組み入れたくない株式も組み入れることもあり、運用を悪化させる場合もある。直販型投資信託は独立系であるため、そのようなプレッシャーがない。
3.  分配金は再投資に回す
  分配金を出さずに再投資に回す無分配型が多いため、長い期間をかけて資産を増やすことで複利効果が期待できる。その結果、投資信託の純資産残高が増えることになる。
※表をクリックすると別画面で大きく表示されます。
  直販型投資信託を選ぶにあたっては、
    @ファンドマネージャーがどのようなビジョンを持っているか
    A投資先はどのようなものがあるのか
    Bリスクはどのようなものがあるのか
    C投資信託会社の純資産残高が順調に増えているか
なども重要なポイントである。これらは、直販型投資信託会社から投資家へ送られてくる交付目論見書や請求目論見書などで確認できる。また直販型投資信託会社では、定期的にセミナーなども行っている。それぞれの特徴やその会社の投資信託への思いを聞き出すこともできるので参加するといいだろう。
  そのほか、直販型投資信託は機関投資家しか購入できない投資信託も購入できたり、少額の資金からも投資できる点に魅力がある。政府の投資活性化策が実現し、ファンドマネージャーが独立しやすい環境を整えることで、投資家にとって魅力のある投資信託が増えることを願うばかりだ。
  
伊田 賢一 (いだ・けんいち)
株式会社FPウィム 代表取締役、株式会社WINKS 代表取締役
CFP®認定者、一級ファイナンシャル・プランニング技能士
証券会社3社に勤務の後、2002年に独立系FPとして活動開始。独立系FP会社役員を経て、2007年に相談業務を中心としたFP会社として株式会社FPウィムを設立。2010年には多角的なFPサービスの提供を目的とした株式会社WINKSを設立。相談者の心の内の心配ごとをいち早く見つけ、個々人の夢や目標に応じたマネープランニングを提案し、実行援助、管理、見直しに至るまで包括的なサービスを提供している。個人や企業の相談は月平均30件、講演、セミナーも年間60件を超えるなど、幅広いファイナンシャル・プランニング業務を行っている。さいたま朝日に「家計の知っ得」、ホケモンに「保険の基礎知識」などを連載中。おもな著書に「うかる!FP技能士2級」「うかる!FP技能士3級」「うかる!証券外務員2種」などがある。
NPO法人日本FP協会 埼玉支部副支部長、 マネーカフェさいたま代表、埼玉県金融広報委員会アドバイザー。
株式会社FPウィム http://fpwim.com/
  
  
2014.06.30
前のページにもどる
ページトップへ