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労働相談件数、「解雇」より「いじめ・嫌がらせ」が増加
● 総合労働相談件数は、6年連続で100万件を超える
  平成26年5月30日、厚生労働省により平成25年度の個別労働紛争解決制度の最新データが公表された。それによると平成25年度は、前年度に比べ総合労働相談、助言・指導、あっせんの件数がいずれも減少したものの、総合労働相談の件数は6年連続で100万件を超え、高止まりしている。また、総合労働相談のうち、民事上の個別労働紛争の相談内容では「いじめ・嫌がらせ」が5万9,197件と、2年連続で最多となっており、今後の企業の対策が求められるところである。
● 「解雇」より「いじめ・嫌がらせ」が労働相談の上位に
  「個別労働紛争解決制度」は、個々の労働者と事業主との間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルの未然防止や早期解決を支援するもので、「総合労働相談」、労働局長による「助言・指導」、紛争調整委員会による「あっせん」の3つの方法がある。平成25年度は前年度に比べると、総合労働相談、助言・指導、あっせんの件数がいずれも減少している。
【平成25年度の相談、助言・指導、あっせんの概況】
総合労働相談件数 105万42件(前年度比1.6%減)
  →うち民事上の個別労働紛争相談件数 24万5,783件(同3.5%減)
助言・指導申出件数 1万24件(同3.3%減)
あっせん申請件数 5,712件(同5.5%減)
  主要な民事上の個別労働紛争に係る相談件数の推移について注目してみると、平成25年度については「いじめ・嫌がらせ」の件数が5万9,197件で前年度比14.6%増と最多となっている。以前は解雇に関する相談が最も多かったが、近年は「いじめ・嫌がらせ」に関する相談のほうが増えている。
  各企業は、いじめ・嫌がらせ対策に特化したパワハラ対策などの社内研修を行い、啓蒙活動に力をいれて、パワハラによるトラブルを予防し、生産性の低下を防ぎたいところである。
【平成25年度の主要な民事上の個別労働紛争に係る相談件数】
いじめ・嫌がらせ 5万9,197件(前年度比14.6%増)
解雇 4万3,956件(同14.7%減)
労働条件の引下げ 3万67件(同11.5%減)
退職勧奨 2万5,041件(同3.1%減)
参考厚生労働省:「平成25年度個別労働紛争解決制度施行状況」を公表します
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000047179.html
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2014.07.07
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