>  今週のトピックス >  No.2855
新入社員の「人並みで十分」志向、過去最高に
● 仕事は「ほどほど志向」さらに強まる
  公益財団法人 日本生産性本部の「職業のあり方研究会」と一般社団法人 日本経済青年協議会は、平成26年度新入社員2,203人を対象にした「働くことの意識」調査結果を発表した。この新入社員の意識調査は、昭和44年度に実施して以来46回目となっている。
  調査結果によると、「人並み以上に働きたいか」の質問に対して、「人並みで十分」という回答が今年度さらに増加(昨年49.1→52.5%)。「人並み以上に働きたい」(昨年42.7→40.1%)を大きく上回り、過去最高だったバブル末期(平成2〜3年)と同様の売り手市場の意識になってきており、「ほどほど志向」がさらに強まっている。このような新入社員の意識の変化については、マネジメントをしていくうえで大変参考になるため、その他の質問項目とあわせて押さえておきたいところである。
● 残業をしたくないわけではないが、見合った処遇を
  「残業についてどう思うか」という設問に対して、最も多かった回答は「手当てがもらえるからやってもよい」で、昨年度の63.0%から69.4%に急増し過去最高を更新している。その他の回答選択肢としては、「手当てにかかわらず仕事だからやる」「手当てがもらえてもやりたくない」があり、これらは調査開始時の昭和44年度以来、多少の上下はあるものの、全体としては低下傾向にある。
  昨今の「ブラック企業」などの残業代不払いといったニュースを見聞きしている新入社員達は、残業はいとわないが、それに見合った処遇を求めている傾向がうかがえる。
● デートと仕事、全体では仕事優先も近年はデート優先派が増加傾向に
  「デートの約束があった時、残業を命じられたら、あなたはどうしますか」という質問に対しては、「デートをやめて仕事をする」(81.3%)、「ことわってデートをする」(18.3%)と、全体としてはプライベートよりも仕事を優先する傾向が引き続きうかがえるが、ここ数年はやや「デート優先派」が増加している。
  いずれにしても景気の変動にあわせて新入社員の意識も変化することは確かだが、大まかな傾向を分析していき、その変化に柔軟に対応し、望んでいる働き方にこたえていくという企業側の姿勢も若年層の退職率を減らすためには大事になってくるのではないだろうか。
参考 公益財団法人 日本生産性本部:平成26年度 新入社員「働くことの意識」調査結果
http://activity.jpc-net.jp/detail/lrw/activity001412/attached.pdf
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2014.07.22
前のページにもどる
ページトップへ