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公的介護保険の自己負担が2倍になる?
● 来年8月から負担増は決定
  この6月18日に成立、6月25日に公布された「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(医療介護総合確保推進法)によって、2015年8月1日より介護保険の介護サービス利用料の自己負担が「一定以上の所得がある人」については1割から2割に引き上げることが決定された。
  例えば要介護度5の支給限度基準額である36万650円分のサービスを受けた場合、利用者の負担額は3万6,065円となる。これが一定以上の所得がある人については、7万2,130円の負担になるということだ。
● 2割負担となる人は…
  厚生労働省社会保障審議会介護保険部会介護給付費分科会では、「一定以上の所得がある人」の範囲について検討、下記のようになる模様だ。これは被保険者全体の上位20%に該当する。なお、2割負担の対象となるのは、第1号被保険者であり、40歳から64歳までの第2号被保険者については、一律1割負担のままである。
 合計所得金額で160万円以上(年金収入で280万円以上)の者
 ※年金収入の場合:合計所得金額=年金収入額−公的年金等控除(基本的に120万円)
● 負担割合が1割から2割に倍増、負担額は2倍に?
  負担割合が1割から2割となった人全員の負担が必ず2倍となるわけではない。介護に関わる費用負担は、高額介護サービス費の仕組みにより、月額上限が設けられている。負担割合が2割になった人のうち、負担額が2倍となるのは、利用しているサービスの額が低い、要介護度が軽度の人が多くなると予想される。
  この高額介護サービスに関して介護給付費分科会では、月額負担限度額は基本的には据え置くこととするが、負担割合が2割となる人のうち特に所得が高い人については、現行の3万7,200円から高齢者医療制度の現役並み所得者と同じ水準である4万4,400円とすることが適当であるとしている。
  2015年8月1日の施行に向けて介護給付費分科会では、一部給付に関しての被保険者の所有する資産の状況も斟酌することや、要介護度毎の区分支給限度額の改正に関する議論も行われており、今後の動向を注視したい。
  
古賀輝行(こが・てるゆき)
古賀社労士・FPオフィス 代表
〒169-0075
東京都新宿区高田馬場2−9−1 天野ビル3階
E-mail:kogasrfp26-22@ae.auone-net.jp
1951年2月22日生まれ(63歳)。損害保険会社に26年間、生命保険会社に12年間勤務後、2011年退職を機に個人事務所「古賀社労士・FPオフィス」を立ち上げる。
客先企業の顧問社会保険労務士としての業務のほかに、ファイナンシャル・プランナー(FP)として、ライフプラン、生命保険、社会保険の相談業務やセミナー講師を行っている。
  
  
2014.07.28
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