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「相続税改正」に比べまだまだ認知度の低い「贈与税改正」
● 相続財産を「受け取る可能性がある」人は回答者の半数近くに
  ご存じの通り、平成27年1月から、相続税は基礎控除が大きく引き下げられるなど課税が強化される。一方、贈与税は、20歳以上の者が父母や祖父母など直系尊属から贈与により取得した財産に係る贈与税率が引き下げられるなど、課税が緩和される。
  信託協会が、子供をもつ40歳以上の既婚者を対象に今年5月に実施した「相続に関する意識調査」では、「相続税改正」の認知度が50.9%と約5割であるのに対し、「贈与税改正」の認知度は27.3%と3割を下回ったことがわかった。
  調査結果(有効回答数3,927人)によると、相続財産を「受け取る可能性がある」人は全体の45.2%と半数に近く、男女ともに40代、50代ではその割合が約6〜7割と高い。
  ただし、「受け取る可能性がある」人で、対策を「してもらっている」人は19.9%と2割にとどまる。具体的な相続対策の内容は、「生前における定期的・計画的な贈与」が62.4%で最も多く、次いで「生命保険の活用」(25.7%)、「遺言書の作成」(25.5%)などが続いた。
  相続対策を「してもらっている」人は2割にとどまるが、「受け取る可能性がある」人のうち50.9%は「相続対策の必要性を感じている」と回答。必要な対策として43.3%が「遺言書の作成」を挙げ、具体的な相続対策として挙げていた「遺言書の作成」(25.5%)と比べ、これから必要であると考えている人の割合が高い。同様に必要な対策として「納税資金の確保」を挙げている人が26.0%いるが、具体的な相続対策で「納税資金の確保」をしてもらっている人は8.8%と1割に満たない。
● 「教育資金の一括贈与」の認知度が56%と最多
  他方、昨年4月から開始されている「教育資金贈与税非課税制度(教育資金の一括贈与)」(平成27年12月31日までの予定)については、「知っていた」との回答が56.3%と、前記2つの改正と比べて最も多かった。こちらも、年代が高くなるほど認知度が高くなる傾向にある。
  認知度が5割を超えた「教育資金贈与税非課税制度」だが、利用経験者は今のところ全体の1.0%に過ぎない。しかし、「今後の利用意向」をたずねると、利用・検討を希望する人が全体で41.9%と4割を超え、40代では男性(57.7%)、女性(57.6%)ともに6割近くにのぼる。制度を利用した(したい)理由は、「より良い教育を受けさせてあげたい」(42.0%)、「金銭面で希望する進学を諦めさせたくない」(39.9%)、「贈与税の優遇措置が受けられる」(35.4%)などが上位に並んだ。
参考 一般社団法人 信託協会:「相続に関する意識調査」
http://www.shintaku-kyokai.or.jp/data/pdf/repot2607-2.pdf
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2014.08.04
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