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乳房インプラント保険適用から約1年、いまだ低い認知度
● 一般男女はわずか3%、患者・家族ですら8%、極めて低い認知度
  乳がんによる乳房切除ののちに行われる乳房再建術への保険適用は、長らく自分の身体の組織(自家組織)を用いた再建術のみだったが、2013年7月にシリコンインプラントを使った乳房再建への保険適用(以降、乳房インプラント保険適用)が開始された。乳房インプラント保険適用から約1年が経つ今年7月に、アラガン・ジャパン社から、全国の20代から60代の一般男女1,000人と身近に乳がん患者がいる男女300人を対象に実施した、「乳がんと乳房再建に関する意識調査」の結果が発表された。
  今回の調査で、保険診療として乳房再建術を受けられることを知っていたのは全体の3%、乳がん患者が身近にいる人でも8%にとどまり、乳房インプラント保険適用の認知度は極めて低いという結果になった。
● 求められる保険適用や費用についての情報提供
  同調査では、乳房再建の希望度についても調査している。女性全体では「自分が乳がんと診断され乳房を切除することになったら乳房再建を希望する」が63%であったのに対し、男性全体では「配偶者やパートナー、家族が、乳がんと診断され乳房を切除することになったら乳房再建を賛成する」が72%と、男性はより乳房再建を希望・賛成する傾向がみられた。また、「乳房を再建することで得ることができるものは何か」という問いには、「女性としての自信」と答えた男性の割合が最も多く、配偶者やパートナーが乳がんで乳房を切除することになっても、乳房再建により前向きな気持ちで自信を持って生きてほしいと願っていることがうかがえた。
  ただし、乳房再建について懸念される点を聞いたところ、「費用の負担が大きい」という回答が最も多い結果となった。しかし、以前は100万円程度かかっていた乳房再建が、保険適用と高額療養費制度の活用によって自己負担額は10万円程度となったことを知った後は、「費用負担」を懸念点に挙げた人は63%から37%に減った。これは、乳がん患者や家族に対して十分な情報が提供されていないためと推測され、保険適用や費用について正しい理解と認知を広めることが求められる結果となった。
  乳房を再建する女性は現在、乳房を切除した女性の1割強にとどまっているといわれる。乳がん患者やその家族に、乳房再建に対する十分な情報提供と理解を促進することが、乳がん患者とその家族を支援することにつながると考えられる。
参考 アラガン・ジャパン:「乳がんと乳房再建に関する意識調査」
2014.08.11
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