>  今週のトピックス >  No.2876
未払い保険にさせないためのアドバイス
  イザというときに備えて加入する生命保険――ですが、実際には遺族が保険金を手にすることのないままになっている保険があるようです。最近では、この「未払い保険」が問題になっています。
  確実に保険金を手にしていただくにはどのような方法があるのか、私たち生保営業マンからお客様にアドバイスすることが必要でしょう。
● 払込満了の終身保険は要注意?!
  「未払い保険」になっている多くが、払込満了になっている終身保険とのこと。「家族のための準備は万全」と思っていても、その保険の存在を家族が知らなければ、残されたご家族は保険金を手にすることはできません。
  そもそも生命保険は請求されてから支払われる仕組みになっています。自分に万一のことがあった場合にはどのような保障があるのか? 保険金はいくらか? 受取人はだれか? 加入している保険会社はどこか? をご家族に伝えておくようアドバイスしたいものです。
  一番効果的なのは、コンサル時にお客様本人だけでなく、配偶者(家族)にも同席してもらうことです。
  すでにご契約いただいているお客様への具体的なアドバイスとしては、ご家族に口頭で伝えておいてもらうことや、元気なうちにエンディングノート等を活用して、お客様自身が加入している保険の一覧リストを作成してもらうようにしましょう。また、転居された場合は、必ず保険会社に住所変更を通知いただくようアドバイスしましょう。
  あわせて、生保営業マン自身もお客様と綿密に連絡を取り、請求されるのを待つだけでなく、請求のお手伝いができるように態勢を整えておくことが大切です。ある優績者の場合、手作りの保険証券フォルダーをお客様のお宅にお届けし、「万一お客様に何かあってもお身内の方が保険の担当者に連絡できるように、このフォルダーはリビングなど目に付きやすい場所に保管してください」とお願いしているそうです。
● 相続税改正を機に受取人の見直しを
  相続税の改正によって、平成27年1月1日以降に発生する相続・遺贈にかかる相続税が増税になります。具体的には、基礎控除額が現行の6割に引き下げられ、税率構造は6段階から8段階に見直され最高税率は50%から55%に引上げられます。これから来年にかけては相続税の増税に関する報道も増え、お客様の相続に対する関心もますます高まることが予想されます。
  終身保険に加入される本来の目的は、残されたご家族の生活を守るためですが、お子さんは独立していて住宅ローンは完済、退職金も受け取り、年金生活に入られているような高額な死亡保障を必要としないお客様には、相続税の納税資金準備あるいは遺産分割対策として終身保険を活用いただくようアドバイスすることができます。その場合、死亡保険金受取人を配偶者から、相続税を最も多く納める人や代償交付金を支払う人(例えば家業を継ぐ長男など)に変更することをお勧めできます。
● 元気なうちに受け取ってしまう方法もあり
  近年の葬儀は家族葬に人気が集まっているため、それに伴い葬儀費用も圧縮傾向にあります。葬儀費用として終身保険を確保している、というお客様も少なくはないと思います。
  しかしながら、ある程度の預貯金が確保できているのであれば……
  ・終身保険金の解約返戻金の部分を年金として受け取る
  ・解約して解約返戻金を手にする
  ・保障の一部分を解約して解約返戻金を受け取り、死亡保障を一部残しておく
という方法も考えられます。
  どの方法がベストなのかは、加入者本人や家族の経済状況によります。大切なお客様の保険を「未払い保険」にしないためにも、定期的に加入状況や保険をどのように維持していくのかのアドバイスが必要な時代になってきたといえるでしょう。
  
飯田 道子(いいだ・みちこ)
海外生活ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー(CFP)
  金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっている。主な著書には、「宅建資格を取る前に読む本」(総合資格)、「介護経験FPが語る介護のマネー&アドバイスの本」(近代セールス社)などがある。
  海外への移住や金融、社会福祉制度の取材も行う。得意なエリアは、カナダ、韓国など。
  
2014.08.25
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