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データで見る国民年金の受給状況
● 遺族基礎年金は少数派
  母子家庭のみを対象としてきた遺族基礎年金が、今年4月から父子家庭にも給付されるようになって注目が集まりがちだが、実は国民年金受給者に占める遺族年金受給者の割合は非常に低い。
  以下の表は、国民年金(基礎年金)の受給者の割合を一覧にしたものである。平成24年度末時点の数字のため、新たに支給対象となった「父子家庭の遺族基礎年金」の数字は含んではいないが、老齢基礎年金の圧倒的な比率に比べれば遺族基礎年金の占める割合はごくわずかなものにしかすぎず、年金財政に影響を与えるほどの改正ではないことがわかる。
【国民年金の受給者数(平成24年度末)】
老齢基礎年金 障害基礎年金 遺族基礎年金 合計
受給者数 2,611.5万人 170.1万人 9.5万人 2,791.1万人
割合 93.6% 6.1% 0.3% 100%
● 「繰下げ」も少数派
  さて、中心となる老齢基礎年金であるが、ご存じのように「繰上げ」・「繰下げ」の選択が可能だ。
  従来の「繰下げ」は70歳以降に申出をした場合、70歳に達した月の翌月分から申出のあった月までの分は支払われないという妙な規定があったが、平成26年度からは70歳後に申出をしても70歳に達した時点にさかのぼって申出があったものとみなすという、まっとうな取扱いに変更となっている。
  しかし、この「繰下げ」を選択している人も圧倒的に少数派だ。
【老齢基礎年金の繰上げ・繰下げ受給者数(全体)】
本来支給 繰上げ受給 繰下げ受給 合計
受給者数 471.1万人 323.1万人 10.2万人 804.4万人
割合 58.6% 40.2% 1.3% 100%
● 「繰上げ」を選択している女性は男性の半分程度
  先の表では「繰上げ」を選択している人は約4割いた。しかし、「新規裁定者」に絞ってみると、繰上げ受給者の割合はぐっと減っている。
※  新たに公的年金を受け取り始める人。
【老齢基礎年金の繰上げ・繰下げ受給者数(平成24年度新規裁定者)】
本来受給 繰上げ受給 繰下げ受給 合計
受給者数 20.7万人 4.8万人 0.3万人 25.8万人
割合 80.3% 18.5% 1.2% 100%
  また、下の表は先の「新規裁定者で繰上げ受給を選択した人」の男女比である。
  これを見ると、約1/4の男性が「繰上げ」を選択しているのに対し、女性は男性の半分程度しか「繰上げ」を選択していない。
【老齢基礎年金の受給権発生時の男女別繰上げ受給の割合(平成24年度新規裁定者)】
繰上げ受給
(内60歳受給開始)
本来受給
(65歳受給開始)
25.1%
(12.1%)
73.0%
15.3%
(6.4%)
83.3%
18.5%
(8.3%)
79.9%
  ご存じのように、「繰上げ」を選択した場合、早く年金がもらえるというメリットがあるのだが、「一生涯減額された年金しかもらえない」「障害状態に該当しても障害年金がもらえない」「一度、繰上げを選択したら、元には戻れない」というデメリットが存在する。
  それぞれの置かれた状況によって選択肢の判断基準は異なってくるのであろうが、「なるべく繰上げは選択しない方が良い」とアドバイスする識者も多い。平均余命も長い分、女性の方が「減額される」ということに敏感に反応し、「繰上げ」を選択していないとも考えられる。
  男性よりも女性の方が老後生活のことを切実に考え、しっかりとした選択をしていると言えるのかもしれない。
参考 厚生労働省:厚生年金保険・国民年金事業年報(平成24年度)
2014.09.08
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