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国外財産調書の提出状況について
● 法施行後最初の提出状況は
  平成24年度税制改正において、国外財産の保有についての申告制度が創設され、法施行後最初の国外財産調書の提出状況および申告内容の概略が国税庁から7月に公表された。
  このたびの状況は、平成25年12月31日における保有状況について、平成26年3月17日の期限までに提出されたものについての内容で、総提出件数は全国で5,539件、内訳は、東京局3,755件(67.8%)、大阪局683件(11.5%)、名古屋局457件(8.3%)、その他689件(12.4%)と、東京局管内が断トツの状況で、東京・大阪・名古屋の3局で約9割(88%)の件数を占めた。
● 国外財産調書の提出制度とは
  国外財産調書は、「その年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する居住者(非永住者を除く)がその年の翌年3月15日までに提出」することが義務づけられている。なお、「国外財産」とは「国外にある財産をいう」とされているがその判定基準は財産の種類ごとに違い、たとえば、「不動産または動産」は、その不動産や動産の所在で判定される。一方、「預金、貯金または積金」はそれらを受け入れた営業所・事務所の所在で判定される。また、「社債や株式などの有価証券」は当初は有価証券等の発行法人の所在で判定されていたものが、平成25年度税制改正において、金融商品取引業者等の営業所等に開設された口座に係る振替口座簿に記載されている有価証券等の所在は、その口座が開設された金融商品取引業者等の営業所等の所在で判定すると改正された。
  なお、国外財産調書の提出がなく(提出があるも未記載の場合を含む)、国外財産に関して所得税の申告漏れが生じた際には原則として過少申告加算税等が5%加重され、平成27年1月1日以降は、故意に国外財産調書に偽りの記載をしたり、正当な理由なく期限内に提出しなかった場合の罰則も適用される。逆に、期限内に提出すれば、国外財産調書に記載のある国外財産についての所得税・相続税の申告漏れの場合、過少申告加算税等は5%減額される取扱いとなる。
● 財産の種類別では有価証券が6割強
  さて、国外財産調書で報告された財産状況を見てみると、申告された国外財産の総合計額は、約2兆5,142億円。内訳は、東京局2兆0,989億円(83.5%)、大阪局1,793億円(7.1%)、名古屋局931億円(3.7%)、その他1,429億円(5.7%)と、件数以上に東京局管内が断トツの状況で、東京・大阪・名古屋の3局で約9割(94%)を超える実績となっている。
  また、財産の種類別では、有価証券が最も多く1兆5,603億円(62.1%)で全体の6割を超え、続いて同じく金融資産である預貯金が3,770億円(15.0%)となっている。以下、建物1,852億円(7.4%)、土地821億円(3.3%)、貸付金699億円(2.8%)、それら以外の財産2,396億円(9.5%)となっている。
  近年の国外財産の保有状況は増加傾向で、今後もこうした傾向の継続が想定される。国外財産に対する所得税や相続税の適正な課税実現に向けた仕組みとしてスタートした当制度については、その目的を達すべく円滑な定着が求められている。
参考 国税庁:国外財産調書の提出状況について
  国税庁:「国外財産調書」の提出制度のあらまし
2014.09.08
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