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シニア向けサービスを把握してアドバイスに役立てよう
  平成27年1月1日より、相続時の基礎控除額が引下げられることになりました。それにともない、相続やシニアライフに関するセミナーなどが増えてきているようです。シニアライフに関するサービスについてキャッチアップし、顧客に対して情報提供できるような体制を整えておく必要があります。
● 終活を想定した信託が登場
  シニアの間で注目されている「終活」ですが、そのトレンドを組み、信託銀行等が終活に焦点を当てた信託商品を発売しています。
  代表的な商品としては、サーバントラスト信託の「終活信託」、三菱UFJ信託の「ずっと安心信託」などがあげられます。
  たとえばサーバントラスト信託では、顧客が決めたルールによって現金が引き出せる信託を発売しています。元気な時は生活余剰金の管理や不動産の管理などを。死後のフォローでは、お葬式費用の管理や相続対象となるお金の管理などを行っています。
  具体的には、将来の判断能力の低下・衰えに備えた「生活余剰金の管理」、利用者に万一が発生した際に対処できる「ペット飼育費の管理」、葬儀の予約も含めた「お葬式費用の管理」、贈与する・相続するお金の使い道に制限をかけられる「贈与するお金の管理」や「相続するお金の管理」、「単身者向けお金管理」、「不動産の管理」などを行っています。
  年齢を重ねることで判断能力が低下してしまう恐れがありますが、当座の生活に必要ではないお金は管理してくれるので、振り込め詐欺に引っかかる心配がなくなりますね。また、ペットを飼っているのなら、将来、自分が亡くなった後に誰が世話をしてくれるのか? といった不安を抱く人も少なくありません。ペット飼育管理業務では、契約者に万一のことがあったときには弁護士事務所やNPOと協力、ペットの将来の飼育費を預かっておいて事前に取り決めた契約内容に従って費用を払ってくれます。
  今までの信託契約は、死後についてのフォローがメインになっていました。元気なときから死後の整理までを引き受けてくれるサービスは、シニアにとって利用価値の高いものになるため注目されるのは、うなずけますね。
● 施設や病院の身元引受人や保証人は別途必要に…
  上記の商品はとても充実した制度ではありますが、管理はお金のことのみ。万一、急病で手術が必要になったり、要介護状態になって施設に入所しなければならないときには保証人が必要になります。しかしながら、どの会社の信託契約でも保証人等になってくれるというサービスは実施されていません。顧客がこのようなサービスを希望する場合には、別途、保証人代行会社に申し込むことで、保証サービスを得ることができます。
  ただし、保証人代行会社にはいろいろな会社があります。不動産の賃貸契約のみ、介護施設への入所や病院へ入院する際の身元引受人までも保証するといったように分かれています。シニアの場合には、介護施設への入所や病院への入院時の保証まで受けられるような会社で契約すると安心です。
  保証人について悩んでいるような方にとって、いずれ訪れる相続も大きな問題になります。誰が相続人になるのか?どのような手続きが必要なのか? をアドバイスすることも大切です。
● 生命保険と営業マンでできること
  相続やお葬式のお金については、加入している保険で賄えるのではあればそのまま継続して貰う。不足しているようであれば、新たに加入して貰うことが必要になります。
  また、身元引受人は誰にするのか?をヒアリングできれば、生命保険の見直しをして保険金の受取人の変更が必要になるのか? などを一緒に考えていくことも必要です。
  顧客が自社商品と異なる内容の他社商品を希望されたとしても、それだけでは賄えないことや見直しが必要になる事柄が出てくることがあります。ワンストップサービスは利用者にとって楽なものですが、個々の商品やサービスを組み合わせることで必要なものは何かをトータルでアドバイスしてくれる人の存在も大きいと思います。そのためには出来るだけ多くの最新の情報をキャッチアップし、顧客の求めるサービスを提供できるような準備を整えておくことが大切になります。
  
飯田 道子(いいだ・みちこ)
海外生活ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー(CFP)
  金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっている。主な著書には、「宅建資格を取る前に読む本」(総合資格)、「介護経験FPが語る介護のマネー&アドバイスの本」(近代セールス社)などがある。
  海外への移住や金融、社会福祉制度の取材も行う。得意なエリアは、カナダ、韓国など。
  
2014.09.18
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