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NISAが727万口座に拡大、3カ月間で1割以上の増加
● 20〜30歳代の利用増加が顕著
  金融庁がこのほど発表したNISA(少額投資非課税制度)口座の開設・利用状況等調査の結果によると、今年6月末時点のNISA総口座数は、727万3,667口座にのぼることが明らかになった。口座数は今年3月末から3カ月間で11.8%増加し、投資額は同5割以上増加して1兆5,000億円を超えた。調査は、同庁が銀行や証券会社などNISA取扱全金融機関717法人を対象に実施したもの。
  口座の開設数を年代別にみると、「60歳代」が204万8,123口座(構成比28.2%、3月末からの増加率9.3%増)で最多、「70歳代」が161万3,975口座(同22.2%、同8.2%増)、「50歳代」が122万4,872口座(同16.8%、同13.5%増)、「40歳代」が95万8,389口座(同13.2%、同16.4%増)と続く。
  しかし、3月末からの3カ月間の増加率では、「20歳代」(25万2,871口座)が20.9%増と最も高く、次いで「30歳代」(59万5,795口座)が18.7%増と、若者世代の増加が目立つ。
● 個人投資家の投資額はこの3カ月間に55.8%増
  また、NISAによる個人投資家の投資額は、6月末時点で1兆5,631億円と、3月末から55.8%増加して1兆5,000億円を超えた。年代別にみると、「60歳代」が5,081億771万円(構成比32.5%、3月末からの増加率53.1%増)で最多、「70歳代」が3,794億3,633万円(同24.3%、同52.1%増)、「50歳代」が2,562億2,804万円(同16.4%、同58.3%増)、「40歳代」が1,721億8,353万円(同11.0%、同62.3%増)と、口座の開設数と順位は変わらない。
  しかしここでも、3月末からの増加率でみると、「20歳代」(投資額341億6,998万円)が70.3%増と最も高く、次いで「30歳代」(同1,082億6,185万円)が65.5%増と続き、若者世代の投資額の拡大が目立った。20〜30歳代の全体に占める割合は、3月末時点の8.5%から6月末時点では9.1%に0.6ポイント上昇した。もっとも、60歳代以上が63.5%(6月末)と投資額の半数以上を占めていることには変わりない。
  なお、商品別内訳は、「投資信託」が1兆395億9,973万円(3月末からの増加率67.4%増)で全体の66.5%を占め、次いで「上場株式」が4,949億1,494万円(同35.8%増)で構成比31.7%のほか、「ETF」(上場投資信託)は140億2,979万円(同54.1%増)、「REIT」(不動産投資信託)は145億7,785万円(同69.1%増)とともに構成比は0.9%に過ぎない。「投資信託」の構成比は3月末から4.6ポイント上昇し、NISA全体の3分の2を占めた。
● 金融庁、「ジュニアNISA」の創設など税制改正要望
  なお金融庁は、前回(今週のトピックスNo.2888)お知らせしたように、平成27年度税制改正に向けてNISAの拡充・利便性の向上を要望しており、(1)「ジュニアNISA(仮称)」を創設し、0歳から19歳の未成年者の口座開設を可能とすること、(2)NISAの年間上限投資額を、現行の100万円から毎月の定額投資額に適した金額(120万円=10万円×12カ月)に引き上げること、(3)NISA口座開設手続き等の簡素化など、利便性を向上させること、を掲げている。
参照 金融庁HP:「NISA口座の利用状況に関する調査結果の公表について」
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2014.09.29
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