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10月1日より拡充された雇用保険の教育訓練給付
● 平成10年に創設された雇用保険の給付制度の1つ「教育訓練給付」
  教育訓練給付とは、労働者や離職者が、自ら費用を負担して、厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講し修了した場合、本人がその教育訓練施設に支払った経費の一部を支給する雇用保険の給付制度の1つである。
  この教育訓練給付は、働く人の主体的な能力開発の取組みまたは中長期的なキャリア形成を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的としている。完全失業率が4%を突破した1998年に失業予防を目的としてこの制度が設けられ、これまでも数多くの人が利用している。
  この10月1日より教育訓練給付制度がさらに拡充されることとなったので、今回はこの拡充部分についてまとめておくこととする。
● 教育訓練経費の40%、年間上限32万円の給付が受けられる「専門実践教育訓練」
  従来(平成26年9月末まで)の教育訓練給付金制度は教育訓練の受講者が支払った訓練費用の20%(上限10万円)が支給されていた。拡充後は従来の教育訓練給付金制度を「一般教育訓練」という名称で区分し、さらに別枠で「専門実践教育訓練」という制度が新たに設けられて2本立てとなった。
  この専門実践教育訓練も厚生労働省の指定する講座を受講し、修了した場合に支給されるが、従来の教育訓練給付金よりも支給率と支給上限額が大幅に引上げられており、教育訓練経費の40%(年間上限32万円)にあたる給付を最大で3年間受けられる。
  なお「専門実践教育訓練給付金」の支給対象は、次の(1)または(2)に該当する方となっている。
   (1)  雇用保険の一般被保険者(在職者)
     支給要件期間(同一の事業主に一般被保険者または短期雇用特例被保険者として雇用された期間)が10年以上(※)ある方
   (2)  雇用保険の一般被保険者であった方(退職者)
     一般被保険者資格を喪失した日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内であり、かつ、支給要件期間が10年以上ある方
   ※ただし、(1)(2)とも、
   ・  平成26年10月1日前に教育訓練給付金を受給した場合、または初めて専門実践教育訓練給付金の支給を受けようとする方については、当分の間、支給要件期間が2年以上であれば可能
   ・  平成26年10月1日以降に旧制度の教育訓練給付金または一般教育訓練給付金を受給した場合は、前回の受講開始日から次の専門実践教育訓練の受講開始日前までの間に支給要件期間が10年以上であれば可能
● 「専門実践教育訓練」の対象となる講座内容は?
  今回拡充された専門実践教育訓練の対象となる講座は、以下の@からBの教育訓練のうち、受験率、合格率、就職・在職率等の指定基準を満たすものとして、厚生労働大臣が指定したものとなっている。
  @業務独占資格・名称独占資格の取得を訓練目標とする養成施設の課程
  A専門学校の職業実践専門課程
  B専門職大学院
  すでにこの10月から対象となった講座の詳細も厚生労働省のホームページに掲載されている。スキルアップを目指す人にとっては上手に活用したい制度であり、会社側としても利用を促してみるのもよいのではないだろうか。
参考
厚生労働省 教育訓練給付制度について
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2014.10.14
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