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火災保険、今後の家計負担は増加傾向に
 火災保険を巡って、今後の保険料負担が増す見込みとなりました。損害保険料率算出機構は2014年7月に、火災保険の保険料率の引上げと、長期契約を10年までとすることを発表しています。家計に影響のありそうなその内容を見てみましょう。
● 火災保険の保険料率の引上げと長期契約は10年までに改定
  損害保険料率算出機構の「火災保険参考純率改定のご案内」によると、住宅総合保険の参考純率が平均で3.5%引き上げられます。引き上げ(引き下げ)幅は、都道府県や建物の構造によって違いますが、例えば、建物保険金額2,000万円、家財保険金額1,000万円の場合、東京都や大阪府のマンション(M構造)では12.0%の引き上げですが、福岡県では24.1%とさらに引上げ幅が大きくなっています。反対に、香川県の木造住宅など(H構造)では、20.3%の引き下げです。
  一方、火災保険の長期契約については、現在36年までの長期契約が可能ですが、この長期契約が10年までに縮小される見込みです。火災保険は、長期契約になるほど保険料は割安になる仕組みになっていますが、今後は10年毎に更新していくことになるため、長期契約を希望する人にとっては実質的な値上げと考えることもできそうです。
● 保険料率引上げや長期契約の見直しは自然災害の増加が背景に
  これら改定の理由としては、前述の「火災保険参考純率改定のご案内」によると、自然災害や、建物の老朽化による水道管からの水濡れ損害の増加が挙げられています。近年は集中豪雨による土砂崩れ、台風被害、竜巻や大雪の被害など、毎年のように大きな災害が発生していることは記憶に新しいところです。それらの被害に伴う火災保険の保険金支払額が増加していることや、将来の自然災害リスクについて不確実要素が増し、予測しづらくなったことなども改定の背景として挙げられています。
  同機構による火災保険参考純率の改定を受けて、損害保険各社の火災保険の改定は2015年度にも行われる見込みです。また、地震保険についてはすでに2014年7月から全国平均で15.5%の値上げになっています。家計の中では損害保険料の負担は増す方向になることで、損害保険だけではなく、生命保険も含めた家計のリスク管理全体を考えた、保険の見直し・乗り換えをお客さまに提案するよい機会になりそうです。
  
高橋 浩史 (たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表(住まいと保険と資産管理 千葉支部)
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
東京都出身。デザイン会社、百貨店、広告代理店などでグラフィックデザイナーとして20年間活動。その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。
住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/
  
  
2014.10.20
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