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平成25年度の法人の黒字申告割合は29.1%で3年連続増加
● 申告所得金額・申告税額は4年連続の増加
  国税庁がこのほど発表した平成25年度の法人税の申告事績によると、平成26年6月末現在の法人数は前年度比0.7%増の300万7,000法人で、うち平成25年度内に決算期を迎え今年7月までに申告した法人数は、同0.4%増の277万1,000法人だった。
  その申告所得金額は前年度比17.9%増(前年度比8兆906億円増額)の53兆2,780億円、申告税額の総額も同9.3%増(同9,298億円増額)の10兆9,403億円と、ともに4年連続の増加となった。
  この結果、法人の黒字申告割合は、前年度に比べ1.7ポイント上昇して29.1%となり、3年連続の増加となった。
  もっとも、初めて黒字申告割合が30%を割り込んだ平成20年度から22年度(同割合25.2%)までは、3年連続で過去最低を更新していたもので、黒字申告割合は低水準が続いている。法人の黒字申告割合は、過去最高だった昭和48年度(同65.4%)の半分にも満たない低い数字が、平成5年度から21年間も続いていることになる。
  4年連続の増加となった黒字法人の申告所得金額は、黒字申告1件あたりでは前年度に比べて10.9%増の6,619万円となった。一方、申告欠損金額は、同24.1%減の12兆7,744億円となり、赤字申告1件あたりの欠損金額も同22.6%減の650万円と、ともに大幅に減少し、企業業績の改善がうかがえる結果となった。
  ちなみに、申告所得金額のピークは平成18年度の57兆828億円、申告欠損金額のピークは11年度の33兆2,791億円だった。
● 連結法人の黒字申告割合は57.5%
  また、今年6月末現在の連結法人数は、親法人が1,541(前年度比6.3%増)、子法人が1万899(同5.6%増)の計1万2,440法人(同5.7%増)だった。このうち、7月末までに申告した親法人は1,425件(同11.8%増)で、その黒字申告割合は前年度に比べ7.5ポイント上昇の57.5%。申告所得金額は同64.5%増の8兆5,731億円と大きく増加する一方、申告欠損金額は同35.4%減の1兆1,613億円と大幅に減少している。
  連結納税での申告書に添付された個々の親法人・子法人の決算内容の届出書をみると、届出件数1万1,633件のうち、黒字分は65.4%にあたる7,606件、赤字分が4,027件だった。つまり、連結納税でなければ、黒字申告割合は6割半ばに達することになる。総個別所得金額も10兆6,408億円にのぼる。
  このように、企業グループ内の個々の法人の所得と欠損を通算して所得が計算できる連結納税の効果は大きいことがうかがえる。
● 源泉所得税額は14.8兆円で4年連続増加
  なお、平成25事務年度における源泉所得税の課税事績によると、同事務年度における源泉所得税額は14兆8,243億円で、前年度に比べ1兆4,707億円増加し、平成22事務年度以降4年連続の増加となった。
  これを主な所得についてみると、「給与所得」は、アベノミクス政策の影響もあり、前年度比4,199億円増の9兆4,812億円と、税額全体の6割強(約64.0%)を占めた。また、株式市場の活発化等により、「配当所得」の税額が4,836億円(前年度比22.6%)増の2兆6,225億円、「特定口座内保管上場株式等の譲渡所得等」が4,711億円(同1,048.9%)増と10倍以上増加して5,160億円、「報酬料金等所得」が79億円(同0.7%)増の1兆1,710億円、「利子所得等」が240億円(同5.5%)増の4,607億円、「非居住者等所得」が804億円(同29.9%)増の3,491億円と、「退職所得」(同6.7%減の2,239億円)以外の全ての項目が増加した。
参考 資料:平成25事務年度 法人税等の申告事績の概要は
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2014.10.27
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