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相続人が海外に居住していたら、相続税はどうなる?
● 国内財産は全て課税、国外財産は課税されない場合も
  最近では、被相続人や相続人が海外に居住しているというケースが珍しくなくなってきた。日本国内にある財産については、全てのケースで課税対象となるが、国外財産が課税されるのかどうかは、ケースにより異なる。
  それを判断するためには、相続税の納税義務者の定義を確認する必要がある。定義は、以下のようになっている(相続時精算課税贈与による納税義務者を除く)。
1.  相続や遺贈で財産を取得した人で、財産をもらった時に日本国内に住所を有している人
2.  相続や遺贈で財産を取得した人で、財産をもらった時に日本国内に住所を有しない人で次の要件全てにあてはまる人
     イ:  財産をもらった時に日本国籍を有している
     ロ:  被相続人又は財産をもらった人が被相続人の死亡の日前5年以内に日本に住所を有したことがある
3.  相続や遺贈で財産を取得した人で、財産をもらった時に日本国内に住所を有しない人で次の要件全てにあてはまる人
     イ:  財産をもらった時に日本国籍を有していない
     ロ:  被相続人がその死亡の日に日本国内に住所を有している
4. 相続や遺贈で日本国内にある財産を取得した人で日本国内に住所を有しない人(2及び3に掲げる人を除く)
  このうち、1は居住無制限納税義務者、2と3は非居住無制限納税義務者と呼ばれ、これらの納税義務者については、財産が国内にあるかどうかを問わず、取得した全ての財産が課税対象とされる。一方、4は制限納税義務者と呼ばれ、この区分に該当した場合のみ、国外財産は課税対象外とされ、日本国内にある財産のみが課税対象となる。
● 平成25年度改正により、国外財産に対する課税は強化
  実は、平成25年3月31日までは、上記3の区分はなかった。平成25年度税制改正により新設され、平成25年4月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税から適用されている。この改正により、相続人が日本国籍を有しておらず、海外に居住している場合でも、被相続人が死亡時点で日本に居住している場合には、国外財産が非課税にならず、相続税の課税対象となった。
  したがって、現在では国外財産が非課税になるのは、以下のケースとなる(両方とも、相続発生時点で相続人が日本国内に住所を有しないことが条件)。
1.  相続人が日本国籍を有している場合
被相続人及び相続人がともに、被相続人の死亡の日前5年以内に日本に住所を有していない。
2.  相続人が日本国籍を有していない場合
被相続人がその死亡の日に日本国内に住所を有していない。
  上記のケース以外は、海外に居住していたとしても、国外財産を含む全財産が課税対象となる。
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村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
マネーコンシェルジュ税理士法人
◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
http://www.money-c.com/
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2014.10.30
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