>  今週のトピックス >  No.2927
政府の「女性の活躍推進」、現場の声とのギャップあり
● 「子どもができてもずっと職業を続ける方がよい」44.8%で前年より初の減少
  内閣府は、11月1日、女性の活躍推進に関する世論調査の結果を公表した。この調査は、安倍政権が掲げる「女性の活躍推進」について、20歳以上の国民の意識を調査しているものだが、今後の施策の決定にあたり参考にしていることもあり重要な位置づけとなっている。
  最近になって、女性の活用については、かなりメディアなどで取り上げられることも増えているが、政府の思いどおりに進んでいるとはいえない点もある。
  政府、現場の企業経営者、そして当事者である女性従業員、それぞれが様々な考えをもっており、たくさんの課題を抱えているのが現状である。
  今回の調査において注目すべき項目として、女性の職業について「子供ができてもずっと職業を続ける方がよい」と回答した人が44.8%で、この調査を始めた1992年以来初めて減少に転じた形になったことが印象深い。
● 出産後も働き続けることができる環境の整備が課題
  この調査では、「一般的に女性が職業をもつことについて、どのように考えるか」を聞いたところ、「女性は職業をもたない方がよい」と答えた者の割合が2.2%、「結婚するまでは職業をもつ方がよい」と答えた者の割合が5.8%、「子どもができるまでは,職業をもつ方がよい」と答えた者の割合が11.7%、「子どもができても,ずっと職業を続ける方がよい」と答えた者の割合が44.8%、「子どもができたら職業をやめ、大きくなったら再び職業をもつ方がよい」と答えた者の割合が31.5%となっている。
  前回の調査結果(平成24年10月)と比較して見ると、「子どもができるまでは、職業をもつ方がよい」(10.0%→11.7%)と答えた者の割合が上昇し、「子どもができても、ずっと職業を続ける方がよい」(47.5%→44.8%)と答えた者の割合が低下している。
  このような結果となったのは、出産後も働き続けることができる環境整備が不十分であることは明らかであり、女性の活躍を最重要政策と位置付ける安倍政権にとってたくさんの課題があるといえる。
  問題解決のためには、常に挙げられていることだが、「保育所や学童クラブなど、子供を預けられる環境の整備」、「女性が働き続けることへの周囲の理解.意識改革」、「男性の家事参加への理解.意識改革」などが重要になってくるといえるだろう。
参 考 : 内閣府 女性の活躍推進に関する世論調査
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2014.11.25
前のページにもどる
ページトップへ