> 今週のトピックス > No.2929 |
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相続時精算課税、他の相続人への影響に注意
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![]() ● 相続時精算課税制度の概要
贈与税の課税制度には、暦年贈与(暦年贈与課税)と相続時精算課税の2つがある。
相続時精算課税は、65歳以上の親である贈与者が、贈与者の推定相続人である20歳以上の子に対して、2,500万円までの贈与財産を贈与時にいったん非課税で贈与できる制度である(注)。贈与財産の価額の合計額が2,500万円を超えた場合には、その超えた金額の20%の贈与税を納付しなければならない。 相続時には、その贈与がなかったものとして贈与財産は贈与時の価額で相続財産に加算され、納付した贈与税がある場合には、相続税から控除される。なお、相続時精算課税制度をいったん選択すると、暦年贈与には戻れない。
![]() ● 相続時精算課税の選択で、他の相続人の税額が増えることも
実は、相続時精算課税を選択することで、他の相続人に影響を与えることがある。
例えば、2億円の財産を所有している父が相続人である長男と次男に生前贈与を検討するとする。長男と次男の両方に、毎年100万円の暦年贈与を実施し、20年後に父が亡くなったとすると、相続時の父の財産は以下のようになる。 ![]()
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この場合、平成27年1月1日以後の相続と仮定して相続税を計算すると、以下のようになる。
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これを、長男に対しては2,000万円の贈与について相続時精算課税を適用、次男に対しては100万円×20年間の暦年贈与を適用するとした場合、相続時の父の財産は以下のようになる。
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この場合の相続税は以下のようになる。
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結果として、次男はどちらの場合も同じように暦年贈与を適用しているにもかかわらず、長男が相続時精算課税を選択するかどうかで約120万円も相続税が変わることになる。
この最大の原因は、長男に対する暦年贈与の非課税贈与(年間110万円以下贈与)が使えていないからである。相続時精算課税の選択は、上記のような問題を含んでいるため、適用にあたっては熟慮が必要となる。 ![]()
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2014.11.27 |
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