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円安傾向で注意したい外貨建て商品販売のポイント
  日本経済は、現在、円安傾向に推移していると言われていますが、それに伴い外貨建ての金融商品に興味を持つ人も多くなってきています。この傾向は、生命保険の分野でも例外ではありません。
● 為替推移は貴重なセールスツールだが…
  外貨建ての金融商品を販売する場合、為替変動リスクの案内とともに、過去の円/ドル等の為替レートの推移を提示するかと思います。
  主に直近のレートと共に、過去1〜2年のレートを提示する方が多いと思いますが、平成24年12月31日の円/ドルレートの終値は86.74円。平成26年11月19日の円/ドルレートの終値は117.97円であり、約2年で31.23円も円安に推移していることが見て取れます。
  外貨建ての生命保険の場合、FX等の為替差益の鞘取りを目的としたものではないものの、積み立てたときよりも解約時や満期時に円安に推移していれば、運用益だけでなく、為替差益を受け取れるため、円安を望む顧客は少なくありません。
  確かに円安は顧客にとっては一見すると有利になりそうですが、必ずしも円安が継続する訳ではありません。積立期間や据え置き期間によっては、為替差損になる場合があることを、しっかりとアナウンスしなくてはなりません。
● 円安のいま、注目を集めているからこそ慎重に!
  セールスマンのみなさんが外貨建ての生命保険を販売する際には、丁寧にリスクを説明されていることと思いますが、今の円安という状況から、「これからもっと円安になるかも?」というように“目先の有益さ”から外貨建ての生命保険を検討するお客様が増えてくることも想定されます。
  とはいえ、私たちが販売しているのは生命保険です。お客様に本来の目的を理解してもらい、本当に必要な保障をアドバイスすることが大切です。
  ときには生命保険以外の選択肢を提案する必要があるかもしれませんが、お客様の保障や運用をトータルで考えた場合には、それは欠かせないアドバイスとなります。
  生命保険のセールスマンとお客様とのお付き合いは、他の金融商品を販売するセールスマンに比べて長期に渡ります。円安に注目が集まっているタイミングだからこそ、今後の動きを慎重にみていきたいものですね。
  
飯田 道子(いいだ・みちこ)
海外生活ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー(CFP)
  金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっている。主な著書には、「宅建資格を取る前に読む本」(総合資格)、「介護経験FPが語る介護のマネー&アドバイスの本」(近代セールス社)などがある。
  海外への移住や金融、社会福祉制度の取材も行う。得意なエリアは、カナダ、韓国など。
  
2014.12.01
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