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「非上場株式等に係る納税猶予制度」来年1月より改正
● 平成27年1月以降の「非上場株式等に係る納税猶予制度」主な変更点
  平成25年度税制改正による改正相続税法の施行がいよいよ間近(平成27年1月1日以後の相続・贈与等から適用)に迫ってきたが、同時に、中小企業の事業承継に関わる「非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度」についても、さらに活用しやすいように取扱いの変更が行われ、同じく、来年以降の相続・贈与等から適用されることになっている。ここで、主な変更点について確認をしてみたい。
● 適用要件の緩和
1.雇用確保要件の緩和
  現行では、事業継続要件として、認定の有効期間(5年間)において、「従業員数が毎年、相続開始時または贈与時の80%以上であること」となっているが、毎年の経済変動を考慮して、「認定の有効期間(5年間)の平均で80%以上であること」に緩和される。
2.後継者の親族間承継要件の廃止
  現行では、「先代経営者の親族であること」という後継者要件が定められているが、これが廃止される。親族から後継者が見つからないような場合、優秀な社員を後継者として抜擢し、事業の承継・継続に向けた取組みを支援する緩和となっている。
3.先代経営者の役員退任要件の緩和(贈与税の納税猶予制度)
  現行では、後継者に猶予対象株式を一括贈与した後、先代経営者は役員を退任することが要件とされているが、これを「代表者の退任」に緩和。これにより、先代経営者が贈与後も引き続き役員として経営に貢献できることとなる。
● 税負担の緩和
1.利子税の負担軽減
  猶予税額の納税が必要となった場合、現行では「相続税または贈与税の法定申告期限」以降の期間を対象とした利子税の納税が併せて必要となるが、今後は経済産業大臣の認定の有効期間(5年)経過後に猶予税額の全部または一部の納税を行う場合には、利子税の対象は有効期間経過後の期間のみとされ、利子税負担の軽減が図られている。また、税率についても軽減される。
2.納税猶予税額の計算方法の見直し
  相続税の計算において、現行では被相続人の債務や葬式費用を課税価格から控除することが認められているが、納税猶予制度を適用する場合、債務や葬式費用の控除は、「非上場株式等の価額から控除すること」とされている。これを「非上場株式等以外の財産の価額から控除すること」に改めることにより、納税猶予の対象となる相続税額、さらに、それに伴い納税猶予される税額がより大きくなるようにし、制度適用の場合の納税負担緩和を図っている。
  上記の他、手続きの簡素化(経済産業大臣による事前確認は平成25年4月から廃止済み)やその他の適正化措置等が平成27年1月から実施となる。
  相続税については平成27年1月以降、増税の傾向となり、中小企業経営者が事業承継を行う際の納税負担も当然のことながら重くなる傾向にある中、納税猶予制度をさらに使いやすい制度とすべく改正が行われている。日本経済を支える中小企業の活動がますます活発となるよう、引き続いて取り組まれる制度の充実に今後も注目してみたい。
2014.12.01
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