> 今週のトピックス > No.2939 |
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米ムーディーズ、日本国債を3年ぶりに格下げ
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![]() ● 日本国債、上から5番目の「A1」に格下げ
アメリカの格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、今月1日、日本国債の格付けを「Aa3」から「A1」に1段階引き下げたと発表した。日本国債の格下げは2011年8月24日にそれまでの「Aa2」から「Aa3」に下げて以来、3年3か月ぶりである。
格付けとは各国が発行する国債に対する信用力を示すもので、投資家が国債に投資した資金がキチンと返ってくるか、利息はキチンと支払ってくれるかを格付け会社が評価している。 ムーディーズの格付けは以下のとおりである(格付けAを抜粋)。
注: ムーディーズは「Aa」から「Caa」までの格付けに、1、2、3という数字付加記号を加えている。1は、債務が文字格付けのカテゴリーで上位に位置することを示し、2は中位、3は下位にあることを示す。 出典:ムーディーズ・インベスターズ・サービスの資料をもとに鰍ePウィム社作成 ![]() ● 「経済政策のかじ取り難航」と判断
日本国債格下げの理由は、今年4月の消費税増税で景気が冷え込み、財政再建と景気回復を両立させる経済政策のかじ取りが難しくなったと判断したからだ。日本政府は、2015年度に基礎的財政収支の赤字を半減し、2020年度には基礎的財政収支を均衡させることを目標としている。消費税増税はその目標を達成するための重要な手段であったが、消費税再増税が延期されたことで、実現が難しい状況となってしまった。
消費税の引き上げ後、GDP(国内総生産)の成長率は実質、名目とも縮小し、景気が後退したことも格下げの理由の一つである。 ![]() ● 格下げが私たちの生活に与える影響
格付けが引き下げられることで、日本の国債の信用力が低下する。投資家は格付けが下がった国債を保有するより、リスクの低い国債に買い替えることになる。よって、日本の国債を売り、結果、円安となる。また、国債が売られることで価格が急落し、国債の利回りが上昇し、金利は上昇する。財務省によると、国債の金利が2%上昇すると借金返済に充てる予算が3年後には8兆円程度にまで膨らみ、財政がさらに圧迫されることになる。住宅ローンや企業の借入金の金利も国債金利に連動するため、金利上昇が生活に及ぼす影響は大きい。
日本銀行が金融緩和のために国債を大量に購入していることから、長期金利は低水準にある。今後、日本の景気回復が遅れ、消費再増税が再度延期された場合には、信用力がさらに低下し、格付けが再度引き下げられることもありえる。 一日も早い景気回復、財政再建のメドを立て、地に落ちた信用を回復して欲しいものである。 ![]()
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2014.12.15 |
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