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「パートタイム労働法」が改正、平成27年4月より施行
  厚生労働省の「パートタイム労働者総合実態調査(平成23年)」によると、パートタイム労働者は労働者全体の27%を占め、増加傾向にある。パートタイム労働者については、仕事の内容・責任等が正社員と同じなのに、賃金等の待遇は一般に働きや会社への貢献に見合ったものになっていないなど、パートタイム労働に関する知識不足や、適正な雇用管理がなされていないことでのトラブルも目立つ。パートタイム労働者の公正な待遇を確保し、また、納得して働くことができるよう、「改正パートタイム労働法」が平成26年4月に公布され、平成27年4月1日から施行される。
● 平成20年4月の改正のポイント
  「パートタイム労働法」は平成20年4月にも改正されている。このときは
  • 「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」などの労働条件の文書による明示
  • 労働者から求められた際に、待遇等の決定にあたり考慮した事項を説明することの義務化
  • 通常の労働者への転換の推進の義務付け
などが規定された。
  また、「職務の内容と責任」「人材活用の実態」「契約期間(無期労働契約)」が通常の労働者と同じであるパートタイム労働者は、退職金を含む賃金、福利厚生、教育訓練等、全ての待遇について正社員と差別的に扱うことが禁止され、企業にとっては正社員並みの働きをさせながら雇用コストを抑えるようなことはできなくなった。
● 平成27年4月1日施行の改正パートタイム労働法は?
  平成27年4月改正の主なポイントは、以下の通りである。
@パートタイム労働者の公正な待遇の確保
  • 平成20年の改正時に規定された「正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の範囲」から「契約期間(無期労働契約)」の要件が削除され、対象範囲が拡大される。
  • パートタイム労働者の待遇と通常の労働者の待遇を相違させる場合は、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない(「短時間労働者の待遇の原則」の新設)。
Aパートタイム労働者の納得性を高めるための措置
  • パートタイム労働者を雇い入れたときは、その時点で「賃金の決定方法」「教育訓練」「福利厚生施設」「通常の労働者への転換を推進するための措置」などの雇用管理の改善措置の内容について説明することが義務付けられる。
Bパートタイム労働法の実効性を高めるための規定の新設
  • 雇用管理の改善措置の規定に違反している事業主に対して、厚生労働大臣が勧告をしても従わない場合は、事業主名を公表できる(「厚生労働大臣の勧告に従わない事業主の公表制度」の新設)。
  • 事業主が、パートタイム労働法の規定に基づく報告をしなかったり、虚偽の報告をした場合は、20万円以下の過料に処せられる(「虚偽の報告などをした事業主に対する過料」の新設)。
  事業所規模が小さいほどパートタイム労働者の割合は高く、正社員よりパート労働者の方が多い事業所も多く見受けられるなか、事業主にとって「パートタイム労働法」をよく理解し、適正な労務管理に取り組んでいくことがいっそう求められる。
※  パートタイム労働者(短時間労働者)とは「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者(正社員)の1週間の所定労働時間より短い労働者」と定義されている。
2014.12.15
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