>  今週のトピックス >  No.2943
中小企業の従業員の71.6%が「人事評価に不満」
● 人事評価の満足度はモチベーションにも影響する
  人事評価システム・運用支援を専門とする、「株式会社あしたのチーム」は、人事に関するインターネット調査を実施、11月にその調査結果を発表した。今回は実際に評価を受ける側の従業員に対して調査を行っている。対象となったのは、従業員300名未満の会社で、人事評価をされる立場である20歳〜69歳の男女で、有効回答数は400名分。
  「会社の人事評価に満足しているか」という質問に対して、従業員の71.6%が人事評価に不満があるという結果となった。今後のモチベーションにも大いに関係してくるので、人事評価の不満についてはできるだけ従業員側の声をしっかり聞いて対策を講じるのがよいといえる。
● 人事評価に対する不満を社内で誰にも伝えない人が多い
  「現在勤めている会社の人事評価に満足しているか」の質問に対して、「満足している」はわずか2.0%。「やや満足している」と回答した26.5%を合わせても28.5%と3割にも満たない。これが現実であるとしても多大な時間と費用をかけて人事評価制度を運用している経営者側の立場からするともう少し改善したいところである。
  ただ、実際に人事評価に対する不満を抱えつつも、その不満を伝えることはないということも調査結果から明らかになっている。人事評価に対する不満を「同僚」「上司」「人事担当者」「経営者・役員」といった対象に伝えたことは「ない」と回答した方が、全ての対象において半数超えという結果となった。特に「人事担当者」に対しては89.5%、「経営者・役員」に対しては85.0%と、直接人事評価の導入に関わる方に対しては多くの人が不満を伝えていない。同僚(69%)や上司(74.3%)に対してもあまり不満を口にしておらず、社内でもう少しコミュニケーションが活性化するような面談の仕掛けなどが必要であろう。
● 「評価と報酬との関連性が持てていない」が不満の理由のトップ
  従業員が感じている「人事評価の不満の理由」についての回答には、「評価と報酬との関連性が持てていない為」がトップとなった(37.4%)。一方、以前の調査で経営者・役員および人事担当者に同じ質問をしたところ、こちらも同じような理由をあげている方が多く、悩みは共通なのかもしれない。次いで、「人事評価の尺度が定められていない為」、「評価者の好き嫌いによって評価されてしまう為」という回答が多く、人事評価を運用する企業側にも問題があるとも考えられる。
  一方で従業員から見た人事評価の必要性については、「必要」という意見が65.5%という比較的高い数値となっており、評価制度はあったほうがいいと思っているようである。
  労使ともに納得できる人事評価をするのは難しいかもしれないが、より公平で納得感のあるシンプルな制度を構築し、継続して運用できるようにしなければならない。評価の詳細についてもフィードバックするなどして、本人の成長を促すようなものが求められている。
参 考 株式会社あしたのチーム「中小企業の人事に関する調査〜従業員編〜」
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2014.12.22
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