>  今週のトピックス >  No.2947
4人に1人が「勤務先が“ブラック企業”だと思う」!?
● 自分の勤め先はブラック企業!? 8割が心身の不調経験あり
  連合(日本労働組合総連合会)が行った調査によると、労働者の4人に1人が自分の勤め先は労働環境の劣悪な“ブラック企業”に該当すると思っていることが明らかとなった。また、勤め先がブラック企業だと思っている人のうち8割は仕事が原因で心身の不調を経験しており、「ブラック企業は健康にも悪影響を及ぼしている」と連合は指摘している。
  この調査は11月に、20〜59歳の働く男女3,000人を対象にインターネット(モバイルリサーチ)で実施したものだが、4人に1人という割合は結構多いと思われるので、企業側も労使間での認識の違いについて考えてみる必要がありそうだ。このような調査結果を真摯に受け止めて、まずは社内の職場環境の現状について詳細を把握すべきであろう。
● 20代の32.7%が「勤め先がブラック企業だと思う」
  「現在の勤務先は、いわゆる“ブラック企業”だと思う」かを聞いたところ、「ブラック企業だと思う(計)」は26.9%(「ブラック企業だと思う」8.2%、「どちらかといえばブラック企業だと思う」18.7%の合計)、一方、「ブラック企業だと思わない(計)」は73.1%(「どちらかといえばブラック企業だと思わない」26.1%、「ブラック企業だと思わない」47.0%の合計)となり、被雇用者の4人に1人が、自身の勤務先をブラック企業だと思っている実態が明らかになった(下図参照)。
  世代別にみると20代が32.7%で最も高く、30代も30.5%と3割を超えた。40代は25.9%、50代は18.6%。“ブラック企業”という言葉の定着度も関連すると思うが、若い世代ほど割合が高かった。
(クリックすると大きく表示されます)
● ブラック企業だと思う理由「長時間労働が当たり前」が半数以上
  ブラック企業だと思う理由(808名対象、複数回答)については「長時間労働が当たり前」52.2%、「仕事に見合わない低賃金」46.3%、「有給休暇が取得できない」37.4%となっており、やはりカギになるのは長時間労働が当たり前となっているところであるが、「国がブラック企業対策に取り組んでいると思うか」を聞いたところ、「しっかり取り組んでいると思う」という回答の割合はわずか2%であり、国のブラック企業対策に期待している声は少ないようだ。
  また、「ブラック企業と感じていることを誰かに相談したことがあるか」との問いには「相談したことがない」が46.8%を占めた。相談したことがある相手は「家族」「友人」がそれぞれ3割を超える程度と割合としては少なめである。
  政府もブラック企業対策に力を入れようと動いており、今後、労働基準法違反への取り締まり強化や社名公表など、取り組みが進んでいくことも予測される。その際に「ブラック企業」と認定されてしまい、企業経営に影響が出ることのないよう、早めに社内環境の整備を進めていきたいところである。
参 考 連合(日本労働組合総連合会):ブラック企業に関する調査
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2015.01.05
前のページにもどる
ページトップへ