>  今週のトピックス >  No.2953
海外で退職金を受け取ると、税金はどうなる?
● 原則は、国内勤務期間対応分に対して20.42%の課税
  退職所得は税法上非常に優遇されており、一定の退職所得控除が認められ、課税所得が2分の1となるうえ、他の所得と合算されない分離課税となっている。通常、日本国内で勤務している居住者の場合は、「退職所得の受給に関する申告書」を提出することを要件として、上記の適用を受けることができる(提出しなかった場合は、20.42%の税率で課税される)。
  では、海外勤務をしている者が勤務先でそのまま退職した場合など、非居住者が退職金を受け取ると、その課税関係はどうなるだろうか。
  原則としては、非居住者は国内源泉所得のみが課税対象となるため、退職金額のうち国内勤務期間(居住者としての勤務期間)に対応する部分に課税されることとなる。具体的には、「退職金の総支給額×(国内勤務期間/退職金の計算の基礎となった全勤務期間)」が課税対象となり、この金額に対して復興特別所得税を含めた20.42%の税率で源泉徴収されることとなる。この場合、居住者に適用される退職所得控除や2分の1課税の適用はない。
● 居住者としての計算を選択することも可能、ただし有利不利あり
  しかし、この計算方法では同じ退職金額であっても、非居住者が居住者より不利になることがある。そのため、特例として居住者と同様の課税方法を選択することも認められている。
  この特例を選択すると、退職所得控除、2分の1課税の適用を受けることが可能となる。具体的には、退職金の収入すべき時期の翌年1月1日または退職金の総額が確定した日のいずれか早い日以後に、居住者と同様の課税方法を選択するものとして、所得税の確定申告をすることで、差額の還付を受けることができる。
  ただし、必ずしも居住者としての計算方法が有利になるとは限らない。居住者として計算する場合には、国内勤務か海外勤務かに関わらず、退職金の全額が課税対象となる。国内勤務期間が少ない場合には、逆に居住者として計算した方が不利になる可能性もある。また、非居住者の場合には20.42%で税率が固定されているが、居住者になると分離課税とはいえ、累進課税になるため、退職金の金額が大きくなると税率が高くなる。そのため、最終的には、両者を計算して有利な方を選択することになる。
  なお、海外勤務中に退職金を受け取った場合は、その所在地国の課税を受ける可能性もあるため、実務上はその点にも注意しなければならないだろう。
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村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
マネーコンシェルジュ税理士法人
◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
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2015.01.15
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