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法人実効税率、2年間で3.29%引下げへ
● 景気回復をねらい法人税引下げを目玉に
  与党が決定した平成27年度税制改正大綱によると、「課税ベースの拡大等により財源を確保しつつ経済の好循環の実現を力強く後押しするために税率引下げを先行させる」としている。
  目玉の一つが法人税の減税だ。課税所得800万円を超える部分の税率が現行の25.5%から、平成27年4月1日以降開始の事業年度において23.9%に引き下げる。これにより法人実効税率も引き下げとなり、現行の34.62%から、27年度は2.51%引き下げて32.11%に、28年度は0.78%引き下げて31.33%となる。つまり2年間で法人実効税率が3.29%引き下がることになり、企業の税負担が軽減される。
  さらに28年度以降の税制改正においても「20%台まで引き下げることを目指して、改革を継続していく」と目標を掲げている。
● 代替財源の柱は外形標準課税の拡充
  法人減税の代替財源の柱として、資本金1億円超の普通法人の法人事業税(地方税)の外形標準課税が現行の2倍に拡大される。ただし、付加価値額が一定額以下の中堅企業には負担軽減措置を設ける。
  具体的には、報酬・給与や支払利子などの総額に課する付加価値割が現行の0.48%から、27年度は0.72%、28年度は0.96%に引き上げられる。資本金などに課する資本割が現行の0.2%から、27年度は0.3%、28年度は0.4%に引き上げられる。一方、年800万円超の所得に対する所得割については現行の7.2%から、27年度は6.0%、28年度は4.8%に引き下げられる。これにより大企業の赤字法人にも課税されることになる。
  地方法人特別税については、付加価値割額、資本割額及び所得割額の合算額によって法人事業税を課税される法人の所得割額に対する税率が現行の67.4%から、27年度は93.5%へ、28年度は152.6%へと大幅に拡充する。
  一方で、賞与を含む平成24年度の給与総額と比べ、27年度は3%以上、28年度は4%以上増やした企業は、その増加額の一部を課税対象としない、付加価値割における所得拡大促進税制を導入する。
  赤字の大企業は税負担が重くなるが、資本金1億円以下の中小企業については、今回、外形標準課税への適用を見送ったため、赤字の中小企業は税負担が変わらない。一方で黒字の中小企業は法人税が引き下げられるため減税の恩恵がある。なお、所得金額のうち年800万円以下の部分に対する中小法人の軽減税率の特例(19%→15%)の適用期限も2年延長される。
  ※平成27年度税制改正大綱については、国会を通過するまでは確定事項ではありません。
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2015.01.19
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