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リコール(製品回収)に対する備えは大丈夫?
● 多額の経済的損失を想定して
  タカタのエアバッグの不具合の問題や、まるか食品の製品への虫の混入問題など、製品の欠陥などが原因で企業がリコール(製品回収)に追い込まれる事例が最近マスコミを賑わせています。このような場合、企業が初動対応を誤ると経営が脅かされるほどのダメージにつながることがあります。リコールを実施する場合、企業には様々な費用が発生し、多額の経済的損失を被るおそれがあります。
  このような損害に備えるための方法として、「リコール保険」があります。リコール保険とは、企業が製品を回収する輸送費や信頼回復のための広告費を補償するものです。加入方法は2通りあります。一つは、リコール保険という単独の保険契約として加入する方法、もう一つは、製造物賠償責任(Product Liability)保険の特約として加入する方法です。
  最近、大手損害保険会社ではリコール保険の取り扱い範囲を広げています。東京海上日動火災保険は1月から補償額を引き上げ、損害保険ジャパン日本興亜は対象の商品を広げ、加入条件も緩めています。4月からはあいおいニッセイ同和損害保険が、免責金額を引き下げる予定です。
● 大手損害保険会社は補償を手厚くする傾向に
  東京海上日動火災保険は、海外PL保険(輸出製品に関する海外での訴訟に備える保険)に付帯するリコール特約の補償額を最大30万ドルとして、従来の最大5万ドルの6倍に引き上げました。この保険の対象製品は、日用品や食品などで自動車部品など一部の商品は除きます。約300万社の中小企業が加盟する全国中小企業団体中央会を通じて加入すると、保険料が通常より約3割安くなります。
  損保ジャパン日本興亜は、国内向け日用品リコール保険の対象に、電子部品などを新たに加えています。加入企業の範囲も広げて、従来は加入できなかった売上高が100億円を超える企業も加入できるようにしています。
  また、あいおいニッセイ同和損害保険は4月から、海外進出に取り組む中小企業向けPL保険の加入企業の範囲を、対象生産物の輸出高が10億円以下の企業から50億円以下の企業に拡大するとともに、これに付帯するリコール特約の免責金額を1,000ドルから免責なしに変更する予定です。
  このような保険に未加入であったために、リコールの発生によって経営が深刻な事態になる企業もあります。そのようなことにならないよう、リコール保険に未加入の企業は加入を検討したほうがよいでしょう。
2015.02.09
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