> 今週のトピックス > No.2970 |
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上場株式等の譲渡益、確定申告が必要な口座は?
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この時期、「昨年は株式取引で利益が出たから確定申告が必要だろうか?」「特定口座も確定申告をしなければならない?」など、お客さまから相談されることもあるだろう。証券取引の口座のメリット・デメリットなどを確認したい。
![]() ■ 一般口座は原則、20万円以上利益が得たら確定申告が必要
証券会社などで上場株式の取引をする際は、「一般口座」「特定口座」のどちらの口座で行うのかを選択しなければならない。証券会社の中には一般口座と特定口座を併用できる会社もある。
一般口座とは、特定口座で管理していない上場株式等を管理する口座をいう。一般口座で管理している株式等は、投資家自身で1月1日から12月31日までの1年間の売買損益を計算し、売買報告書による年間取引報告書を作成し、翌年2月16日から3月15日までに確定申告が必要である(平成27年は3月15日が日曜日のため、期限は3月16日まで)。 ただし、@給与収入が2,000万円以下で、給与の支払が1箇所のみ(年末調整が済んでいること)で、給与所得・退職所得以外の所得金額20万円以下の人や、A公的年金等の収入が400万円以下で、公的年金等以外の所得金額が20万円以下の人は、所得税の申告は不要である(住民税については申告が必要)。 つまり、上場株式等の譲渡益が、あるいはその利益と給与所得・退職所得以外の所得を合算した金額が20万円を超えたら、確定申告をしなければならないということだ。 ![]() ■ 夫の扶養に入っている主婦は「源泉徴収ありの特定口座」がお奨め
一方、特定口座は、上場株式等の譲渡益課税における個人投資家の申告・納税手続きを簡素化するために設けられた制度で、証券会社ごとに1人につき1口座しか作れない。「源泉徴収あり」か「源泉徴収なし」のいずれかを選択するが、どちらにするかはその年の最初の譲渡(または信用取引の差金決済)および配当等の受け入れまでに決めなければならない(その年の途中で変更はできない)。
源泉徴収ありの特定口座では、証券会社が投資家に代わって損益通算し、源泉徴収した税金を納付するため、確定申告は不要だ。ただし譲渡損失の繰越控除の手続きをする場合や、他の証券会社の口座にある上場株式等の取引と損益通算する場合には、確定申告が必要となる。 源泉徴収なしの特定口座については、投資家自身で証券会社が作成してくれた「年間取引報告書」を確定申告書に貼り付けて提出し、申告した税額を納付する。申告が必要かどうかの判断は一般口座と同じである。 源泉徴収ありの特定口座については、その譲渡益は、配偶者控除や扶養控除等の適用の有無を判定する際の配偶者等の合計所得金額に含めなくてもよいことになっている。そのため、専業主婦やパート勤務の主婦が株式投資で利益を上げても申告の必要がないため夫の扶養対象から外れることはないが、源泉徴収なしの特定口座や一般口座を選択していて利益が出た場合には、夫の扶養から外れる可能性もある。 そうなれば、所得税や住民税の配偶者控除が受けられないばかりか、第三号被保険者の条件を満たさなくなれば国民年金保険料を納めなければならない。さらには健康保険の扶養条件を満たさなくなれば国民健康保険に別途加入しなければならない、ということになりかねないので注意が必要だ。 なお、源泉徴収ありの特定口座のデメリットとしては、売買益が出るたびに利益の20.315%が源泉徴収(所得税・住民税)されてしまうため、運用する資金(キャッシュフロー)が悪くなる恐れがあるということがあげられる。 以上の点を踏まえると一般口座を選択するメリットはないように思える。上場株式の取引をしているお客さまから相談されたのなら、口座が一般口座か特定口座なのかを確認してもらうとよい。来年からは、FXなどの金融商品税制も大きく変更になる。この機会に金融商品の税制全体についてキチンと把握しておくべきだろう。 ![]()
一般口座と特定口座の比較
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2015.02.12 |
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