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自動車保険がさらに進化?「テレマティクス保険」が発売
● 計測器で集めた情報をもとに保険料が決まる
  欧米で先行していた「テレマティクス保険」と呼ばれる新しいタイプのリスク細分型自動車保険が、日本でも発売されました。テレマティクスとは、「テレコミュニケーション(通信)」と「インフォマティクス(情報工学)」を組み合わせて作られた造語で、このテレマティクス技術を利用して走行距離や運転速度、ブレーキの掛け方など運転情報を取得し、保険料に反映させるのが最大の特徴です。運転情報は、通信機能を持った計測器を車に取り付けることで集められる仕組みになっています。
  テレマティクス保険には「走行距離連動型」と「運転行動連動型」の2種類があります。走行距離連動型は、自動車の“走行距離”に応じて保険料が決まり、保険料は走行距離が短ければ安く、長いほど高くなります。一方の運転行動連動型は、自動車の“運転特性”に応じて保険料が決まります。運転特性とは、急発進・急ブレーキ・運転速度・ハンドリングなどを指し、これらを総合して安全運転であると判定されると保険料は安く、反対に危険と判断されると保険料は高くなります。
● テレマティクス技術で保険料率はさらに細分化
  テレマティクス保険は、契約者にとっては保険料負担の軽減や、安全運転に伴う事故リスクの減少・燃料コストの軽減というメリットが、保険会社にとっては、安全運転者の増加による保険金支払いや関連コストの削減というメリットが考えられます。
  欧米では2010年頃からテレマティクス保険が普及し始め、アメリカなどでは2020年に自動車保険に占めるテレマティクス保険の割合は3割になると予想されています。
  日本ではソニー損保が2015年2月16日から、自動車保険「やさしい運転キャッシュバック型」を発売。ドライブカウンタという計測器を車に設置して運転のスムーズさを計測し、計測結果を点数化します。その結果、所定の条件を満たすと、点数に応じて保険料が最大20%キャッシュバックされます。
  そもそも自動車保険は、運転者の年齢や事故歴などによって、保険料に差がつく仕組みになっていましたが、金融自由化後にはゴールド免許など運転免許証の色や安全装備の有無など、さらにリスクを細分化して保険料が決められるようになりました。テレマティクス保険は、これをさらに一歩進めた形のリスク細分型自動車保険と呼ぶことができそうです。
  今後、テレマティクス技術を利用して運転情報と事故の因果関係が蓄積されることで、さらに細かい保険料率が設定されることも考えられます。日本でどの程度まで普及していくのか注目です。
参 考 国土交通省「テレマティクス等を活用した安全運転促進保険等による道路交通の安全」
  
高橋 浩史 (たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表(住まいと保険と資産管理 千葉支部)
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
東京都出身。デザイン会社、百貨店、広告代理店などでグラフィックデザイナーとして20年間活動。その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。
住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/
  
  
2015.02.19
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