> 今週のトピックス > No.2977 |
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一定の高額資産家を対象に「出国税」が新設
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![]() ● 居住地国移転によるキャピタルゲイン課税逃れを防ぐ
平成27年度税制改正で、いわゆる「出国税」という税制ができるのをご存知だろうか?「出国税」とは、出国時の譲渡所得課税の特例のことで、同様の特例がアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、カナダなどで導入されている。
租税条約上、株式等のキャピタルゲインについては、株式等を売却した者が居住している国に課税権があるとされている。そのため、これを利用して多額の含み益を有する株式を保有したまま、シンガポールや香港といったキャピタルゲインに税金がかからない非課税国に出国し、その後に売却すれば、日本でも出国先の国でも課税されない。このような課税逃れに対応するのが、今回の税制の趣旨である。 ![]() ● 対象は一定の富裕層、贈与等の場合にも適用あり
この特例は、日本を出国する全ての者が対象になるわけではない。あくまで一定の高額資産家が対象で、出国時の有価証券等の評価額が1億円以上の者であり、かつ出国の直近10年以内に、国内で5年を超えて居住者であった者が対象となる。
但し、課税するといっても実際に株式等を売却したわけではないため、納税資金の不足が予想されるので、納税猶予制度が設けられている。この制度は、所得税に係る確定申告書の提出期限までに、納税猶予分の所得税額に相当する担保を供し、かつ、納税管理人の届出をした場合に適用され、毎年、納税猶予継続届出書を提出する必要がある。納税猶予期間は最長10年で、納税猶予期間内に対象資産を売却せずに帰国した場合には、利子税を含めて猶予税額が免除される。 また、出国時に納税した場合でも、その出国時に有していた有価証券等で出国時以後も引き続き有していたものについては、課税を取り消すことができる。 なお、この特例は自分が出国した場合だけではなく、国外の非居住者に贈与等した場合にも対象となる。適用時期は、平成27年7月1日以後に国外転出をする場合又は同日以後の贈与等となる予定である。 ![]()
※平成27年度税制改正大綱については、国会を通過するまでは確定事項ではありません。
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2015.02.26 |
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