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平成26年申告分から個人事業主も所得拡大促進税制が適用
● 平成26年に3要件を満たせば所得税額控除が適用可
  平成26年分所得税の確定申告は2月16日から始まっているが、留意したいものの一つに所得拡大促進税制がある。同税制は、すでに25年4月から法人税で適用されているが、所得税でも26年分の確定申告から適用が始まる。個人事業主は、25年が基準事業年度、26年が適用1年目となり、26年に雇用者給与等支給額などの要件を満たしていれば、確定申告で所得税額控除が受けられる。
  同税制は、青色申告書を提出する個人が、26年から30年の各年において、雇用者給与等支給増加額の10%相当額を所得税額から控除できる(控除限度額は、適用年分の事業所得の金額に係る所得税額の10%(中小企業者等は20%)相当額)。
  適用要件は、 (1)適用年分の雇用者給与等支給額が、基準となる25年分の雇用者給与等支給額と比べて、26年分・27年分は2%以上、28年分は3%以上増加していること、(2) 適用年分の雇用者給与等支給額が前年分の雇用者給与等支給額以上の額であること、(3)適用年分の平均給与等支給額が前年分の平均給与等支給額を上回っていること。以上、3つの要件を満たすことが必要となる。
● 国内雇用者から除かれる「特殊関係者」に注意!
  雇用者給与等支給額とは、適用する年分の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいう。国内雇用者は、使用人のうち、事業主の特殊関係者は除かれるので注意したい。
  国内雇用者から除かれる特殊関係者とは、(1)事業主の親族、(2)事業主と事実上の婚姻関係にある者、(3)上記(1)、(2)以外の者で事業主から生計の支援を受けている者、(4)上記(2)、(3)の者と生計を一にするこれらの者の親族、とされている。つまり、青色専従者などの給与を増やしても、同税制の適用要件を満たすことはできないことになる。同税制の適用は、事前申請の必要はないので、要件を満たしている場合は忘れずに申告してほしい。
  なお、所得拡大促進税制は、平成27年度税制改正において、29年4月の消費税率再引上げに向けて、適用要件の一つである給与総額増加要件を緩和し、適用期間を30年3月末まで延長する。現行の給与総額増加要件は27年度が3%増、28年度・29年度は5%増だが、改正後は、中小企業者等は、27年度が3%増(大企業3%増)、28年度・29年度も3%増(大企業は28年度4%増、29年度は5%増)に緩和される。
※平成27年度税制改正大綱については、国会を通過するまでは確定事項ではありません。
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2015.03.02
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